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JTが取り組む「自立・自律」を重視した成長支援プログラム――次世代リーダー候補にコーチングを提供する理由とは?
JTが取り組む「自立・自律」を重視した成長支援プログラム――次世代リーダー候補にコーチングを提供する理由とは?

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変化の激しいビジネス環境の中で、企業が持続的な成長をしていくために、次世代リーダー育成が不可欠です。日本たばこ産業株式会社(JT)様も、2013年より「JT-Next Leaders Program」(NLP)と銘打ったプログラムを実施していらっしゃいます。

同社は2022年8月より、NLPにmentoのコーチングを導入。対象者に内省の機会を提供することで、自律的な成長をサポートしています。今回、NLPを推進する人事部 次長 正路浩平さんに、NLPの概要や、コーチング導入の目的や成果などについて伺いました。

JTの次世代リーダー成長支援プログラム「NLP」とは

まずは、JT様の事業と人財開発の方針についてお聞かせください。


正路(しょうじ)さん:JTは1985年の民営化前は、たばこと塩の専売公社でした。現在は、たばこ事業、加工食品事業、医薬事業の3事業を展開しています。それ以外の領域でも、JT Group Purposeに則った新しい事業展開に注力をしているところです。

そして、当社では「人財開発」ではなく、「成長支援」という言葉を使っています。なぜなら、人は開発されるべき対象ではないからです。そして、成長支援においては、自立・自律を軸としています。会社がキャリアパスを提示するのではなく、一人ひとりが自身のキャリアを実現していくことが基本方針です。

会社に個人が合わせていくのではなく、会社が個人に合わせ、サポートするという考えのもと、能力に応じて社員自らがポストを取りに行ける環境です。

次世代リーダー育成の取り組み、NLP(JT-Next Leaders Program)について教えてください。


正路さん:JTでは、2013年から次世代リーダー成長支援プログラムのNLPを実施しています。次世代の経営を担う人財を早期に発掘し、タフな経験により成長を促していくプログラムです。本来は担えないような責任の大きな仕事、いわゆるストレッチアサインメントを提供し、それを一つの足掛かりとして成長を加速化させていきます。それに合わせて、NLP認定者に対するサポートとして、メンタリングやコーチングをパッケージとして提供しています。

NLPに認定されるには、何が必要でしょうか。


正路さん:基本的に職務要件や職責のクライテリアがマッチすれば、誰でも応募することができます。応募は自薦で、選抜を通過すればNLP認定者として、5年間の成長支援期間が提供されます。NLPには、Junior・Middle・Seniorの3つの階層がありますが、一度認定されたからといって、生涯投資対象であり続けるということはありません。

たとえばJuniorに認定されたら自動的にMiddleに上がるわけではなく、Middleに該当する応募要件を満たした上で、改めて自薦応募して選抜される必要があります。より大きく成長しようと思うのならば、相応の実績を出すことが求められるのです。

そして、提供している支援プログラムも、NLPに認定をされたからといって、会社がすべてをお膳立てしているわけではありません。自分が会社の未来をけん引する存在だということを自覚し、成長のために必要なものを選択してもらえるようにしています。

成長に向けた内省機会としてコーチングを導入、個票がmento採択の決め手に

NLPで提供している成長支援プログラムの1つとして、コーチングを導入した背景を教えてください。


正路さん:もともとコーチングは、経営層等を中心に実施していました。それを、より若いNLPに導入した理由は、自立・自律を高める中で一人ひとりの内省機会や、気付きのきっかけを意識的に提供する必要があると考えたからです。

また、NLPは私を含めて人事部の3名で進めています。対して、NLP認定者は全階層合わせて70名ほどです。たとえば全員に1on1をするとしても、人事部3名のマンパワーだけで対応するのは到底できません。それに、認定者としても社内の人間には話しにくいこともあるでしょう。そこで、第三者のプロフェッショナルとしてコーチングを導入することにしました。

コーチング導入により、どんなことを期待していましたか?


正路さん:コーチングとは、会社が「こうなってほしい」という人物像に近づけていくものではなく、あくまで一人ひとりの内省機会のために実施するものです。ストレッチアサインメントや通常業務と並行してコーチングを受けることで、一つひとつの行動や考えをより掘り下げて、自分自身で気づき、成長するきっかけになることを期待しています。

mentoを導入した理由をお聞かせください。


正路さん:コーチングの導入を決めた後、複数のサービスを導入し、結果的にNLP向けのコーチングにはmentoを選択しました。大きな理由としては、一人ひとりのコーチングを通じた考え方や行動の変化を知ることができるからです。mentoには、守秘義務のあるコーチングの時間とは別で、インタビューを通じて一人ひとりの意識や行動の変化をレポーティングする個票があります。定量的なファクトだけではなく、一人ひとりの定性的かつ客観的な状態が分かることは、大きな特徴だと思います。

サポート体制がしっかりとしていることも、魅力のひとつです。実際に導入後も、定例会をしっかりと設定いただけていますし、変化をこちらも見られるという点でも、他にない差別化されたサービスだと思います。担当者の方も、ビジネスパートナーとしてフラットな関係性を築くことができていることも大きいですね。

自立・自律が、より可視化されつつある

コーチング導入の反響はいかがですか?


正路さん:軒並み好評です。やはり、こちらから「こうなってほしい」と要求していないことが大きいのだと思います。そして、コーチングは、人から何かを教えてもらうのではなく、自分の棚卸しをする場ですから、変化の実感値が大きいのだと思います。棚卸しをして言語化をして、それをどう仕事に活かしていくのかを考えていくと、必然的に良いサイクルが回せるようになるので、結果として良い評価が多いですね。

また、コーチングをNLPプログラムの定常メニューとして取り入れて以降は、受講を希望する人が増えています。世の中でも必要性がさけばれていることから、コーチング自体の認知度も上がってきているのだと考えています。

コーチングによる変化はどう捉えていますか?


正路さん:最終的な成果はまだまだこれからです。ただ、挙手制で選択するものに対して、手が挙がることが増えたと実感しています。以前は、NLP認定者となっても、十分に支援が行き届いていないことがありました。

しかし今は、フラットに機会を提供して、その上で一人ひとりが自身の成長のためにその機会を選択していくという形に変わってきています。自立・自律と掲げていることが、より見える化されるようになってきたという印象です。そしてコーチングは、そのプログラムのひとつとして、大いに貢献をしていただいています。

プログラムの発展というのは、次世代の経営者がちゃんと輩出されていくことが成果のすべてです。どれだけ私たちがサポートしたとしても、NLP認定者が上の階層に上がっていけなければ、実施している意味がないと思っています。そこは、まだまだ定量的に計測していくのは難しいですが、少なくとも一人ひとりが自律的に選択をし、学びを継続していたり、前向きに業務に臨んでいたりする、その姿勢が見えていることは、大きな成果ですね。

全体最適よりも、個別最適の成長支援を強化していきたい

今後、コーチングをどう活用していきたいですか?


正路さん:コーチングを、より幅広く使っていきたいです。直近では、次世代リーダーや新任管理職向けに提供をしていますが、これもあくまでひとつの仮説にすぎません。本当にコーチングを欲している人が、違うところにいるかもしれないので、どういう人に提供していくのか引き続き模索していきたいと考えています。

コーチング以外も含めて、成長支援の展望についてはいかがですか?

正路さん:個人的には、階層別研修を撤廃していきたいと考えています。現在、JTでは過去と比較して階層別研修は減らしていますが、よりスリムにしていきたいと考えています。なぜなら、階層別研修は特定の年次に同じ内容の研修を提供しているだけで、一人ひとりの満足度にムラがあるからです。

本当にその研修が必要な人や受けたいと望む人が、適切なレベル感のものを、自分の意思で受けられるような仕組みにしていかなければ、今後グローバルでの競争に勝ち残っていくことは難しいでしょう。特に海外はジョブ型雇用ですから、そうしたマインドセットを一人ひとりが持てるような組織にしていくことが重要だと思います。成長支援や人財マネジメントにおいては、個別最適な施策を進めていきたいですね。

ありがとうございました!引き続き、サクセッション・コーチを通じて、JT様の次世代リーダー育成に伴走してまいります。

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