事業推進本部 IT教育部 部長 八鍬(やくわ)さん(左)
事業推進本部 IT教育部 IT教育G マネジャー 山際(やまぎわ)さん(右)
「マネジャーとして何をしたいのか」をコーチと内省する。パーソルクロステクノロジーの管理職登用とは
INDEX
パーソルグループのテクノロジー事業における中核企業として、ものづくり領域(自動車・航空宇宙・産業機器・家電・ロボットなど)、IT領域(EC分野を中心としたシステム開発・インフラ設計・評価検証業務など)、そしてIoT・AI領域などにおいて、質の高いサービスを提供する、パーソルクロステクノロジー株式会社。
高い専門性を備えた人材が所属する同社は顧客からの評価も高く、事業も組織も右肩上がりで成長しています。エンジニアの数も急速に増える中、同社ではマネジャーの育成のためにコーチングを導入、初年度は受講した10人全員がマネジャー登用になりました。
今回は、事業推進本部 IT教育部 部長 八鍬さんと、IT教育G マネジャー 山際さんに、コーチング導入の背景や具体的な成果についてお話を伺いました。
右肩上がりに成長する組織、マネジャーの育成が急務だった
はじめに、事業概要と人材育成の方針について教えてください。
八鍬さん:
パーソルクロステクノロジーは、2023年1月にパーソルR&D、パーソルテクノロジースタッフ、パーソルプロフェッショナルアウトソーシングの3社が合併して誕生した会社です。これにより、ものづくりとITを融合させ、テクノロジー領域のサービスをより幅広く提供ができるようになりました。
人材育成については、成長が実現できるキャリア形成を軸に、さまざまな研修を用意しています。たとえば、新卒エンジニアに向けたメタバース上の研修、e-Learningの260講座、Udemy等1000件以上の講座を受講することができます。さらに、社員同士や外部講師による社員向け勉強会の開催、名古屋オフィス内にものづくりエンジニアが実習できるラボ設備を設立するなど、エンジニアが勉強したいことを自由に学べる環境を整えています。
技術を学ぶ環境が充実していますね。マネジメントの人材育成については、どのような課題感がありましたか?
山際さん:
ITエンジニアリング本部は成長著しい組織で、エンジニアだけで1,000人を超えています。多くのお客さまに信頼をいただき組織が急成長する一方で、マネジャーの登用が追いついておらず、1人のマネジャーが大勢のエンジニアを担当するような状況が発生していました。
もちろん、マネジャーの育成は喫緊の課題として捉えていたものの、弊社に所属してくれているエンジニアは基本的に現場で技術を活かしたいという志向性の人がほとんどです。プロジェクトリーダーやプロジェクトマネジャーを目指すエンジニアは多いものの、本社で管理職として働く姿はイメージしにくいという人が多いでしょう。そのため、マネジャーの育成がなかなか進んでいない状況でした。
コーチが選べること、受け放題であることがmento選定の決め手
今回、コーチングの導入に至った背景についてお聞かせください。
山際さん:
大前提として、マネジャー育成は自社内でしっかりと行うべきだと考えています。しかし、1人で大勢の部下を抱えてしまうと、なかなか管理職が次期マネージャーの育成にリソースを割くことができません。そこで、外部のサービスを活用する必要があると考えました。
また、マネジャーとして成長するには、「自分はマネジャーとして何をしたいのか」「なぜそのキャリアを目指すのか」、しっかりと向き合って自己理解をすることが必要です。だからこそ、第三者のプロのコーチが時間をかけて対象者の内面と向き合うよう支援をしてくれるコーチングサービスを導入したいと考えました。
なぜ、内省をすることが大事だと感じられたのでしょうか。
山際さん:
一つの組織に責任を持ち、メンバーの人生を牽引しキャリア形成を支援するには、強い気持ちを持つことが必要です。その気持ちを育てるためには、コーチングによる内省が必要だと考えました。自分が部下だったら、仕事や組織に想いがない管理職って嫌じゃないですか。
管理職が「自分はこうなりたい」「会社や組織をこうしたい」と語れる状態になることが、メンバーにとっても組織にとっても本人にとっても非常に大切なことだと考えています。
mentoを選定していただいた理由をお聞かせください。
八鍬さん:
実は当社で過去にmentoを導入した実績があり、私の上司がよかったよと言っていたのでお声がけしました。組織規模が小さいときは次期マネジャー候補の方々と我々(本部長や部長)が1on1の面談をしていたのですが、導入当時は組織が拡大して一人ひとりと頻度高く面談することができていない状態でした。
mentoのコーチングサービスについて詳しく聞いたところ、やりたいと思っていた1on1に近いとピンときたんです。かつ、外部のプロフェッショナルということも利点でした。なぜなら、直接の上司が問いかけをすると、どうしてもきれいな答えを探しに行ってしまうからです。外部の人に対してならば、本当に自分の内面に向き合えるだろうと思いました。
mentoのサービスは、コーチを決める時に5人のコーチがレコメンドされて、その中から自分に合いそうな人を選べることも魅力でした。「自分が選んだ」という当事者意識が芽生えるからです。それに、途中で合わないと感じたら変更ができることもよかったです。受け放題のプランなので、実際に悩みの多い人は、毎週のようにコーチングを受けていました。
そして、サポート体制も安心です。新しい取り組みというのは大なり小なりイレギュラーが発生するものですが、実際にそういう時にも柔軟に対応いただいています。
対象者の選定など、どのようにコーチングの導入を進めましたか?
山際さん:
事業の成長を見据えて、将来の組織像から逆算して必要なマネジャー数を算出し、各組織でマネジメント志向のある人や見込みのある人を候補者として出してもらっています。本人の希望も聞きながらコーチングを受ける人を選出していきました。
八鍬さん:
昨年と今年では、少し選出基準が変わりました。昨年は「受けるからには、マネジャーになるつもりで」と、すぐ次にマネジャーになって欲しい人材を厳選していました。しかし今年は対象を広げ、さらに次の世代のマネジャー候補にもコーチングを受けてもらって、早い段階で将来のマネジメントの準備をしてもらうようにしています。
マネジャー候補の意識が明らかに変わり、スムーズな登用へ
コーチングを導入したことによって得られた成果や反響についてお聞かせください。
山際さん:
昨年受講した10人は、全員がマネジャー登用に成功しています。やはり、社内にはプロのコーチもいないですし、受け放題の密度で対応することも難しいですから、導入してよかったです。そして受講者の人たちも、社内で上司と対話をすることとはまた違った体験ができたようで、口々に「mentoめっちゃいいですよ!」と言っています。
実際にmentoのアンケート結果でも「将来のキャリアイメージや大切にしたい価値観を明確に持っている」「メンバーを信頼し、適切な質と量の業務アサインができている」の設問のスコアが、コーチングを受ける前と後でそれぞれ2.0ポイントも上がっていました。やはり、受けた人たちの満足度が高いことが一番嬉しいですね。そして、その体験を通じて内省が進むからこそ、マネジャー登用が進んだのだと思います。
特に大きく変化した人など、具体的なエピソードがあれば教えてください。
八鍬さん:
ひとりは非常に優秀ですが、コーチングを受ける前は「私には課題がないけど、周りがついてくることができない」と話していた社員です。コーチングを通じて、ある種自分自身を強く見せようとしていた部分と向き合い、捉え方が変わるきっかけになったようです。周囲との関係性もしっかりと取るように変化しているなと感じます。
山際さん:
もうひとりは、周囲の期待値は高いのに、自己評価があまり高くなく、ギャップに戸惑っていた社員です。マネジャー登用の話があったとき、自分が思っていたキャリアの進み方より早く進んでいることに、本人は不安を感じていました。しかし、コーチングを受けて2ヶ月ほど経つと覚悟が決まったようで、今もマネジメント業務をしっかりとやってくれています。自分自身のことをより受け入れられるようになったのかなと思います。
早い時期から管理職のキャリアパスを選択肢として明示し、育成を進めていきたい
コーチングはどんな人や組織におすすめですか?
山際さん:
マネジメントをする上で、自分自身の内面を知ることは、とても大事なことです。そしてそのタイミングは早い方がしっかりと準備ができるのでいいと思います。きっと、ほとんどの人が最初から仕事や組織に対する熱い想いやブレない軸を持っているわけではないはずですよね。名ばかり管理職ではなく、自社の組織を任せる一人のマネジャーとして育成し、矜持を持たせていきたいという会社であれば、コーチングはとても有効だと思います。
マネジャー育成や組織について、今後の展望をお聞かせください。
山際さん:
この取り組みを通して、マネジャーを社内でしっかりと育成できる環境をつくっていかねばならないと考えています。そのためには、mentoさんのコーチングを受けたマネジャーたちが、そのコーチングスキルを自分たちのものにしていくことが必要です。組織が右肩上がりで成長している今、次世代人材育成の手は絶対に止めることはできません。だからこそ、早い時期から段階的に育成をしていきたいです。
また、はじめにお話ししたように、エンジニアは現場でスキルを活かしていきたいという人が多く、本社で管理職になるというキャリアパスはなかなかイメージしにくい傾向があります。だからこそ、若手のうちから管理職としてのキャリアパスも選択肢として明示し、役職者を目指せるようにしていきたいです。
八鍬さん:
そして、管理職になったあとも楽しくやりがいをもって働ける、無理のない働き方ができるような職場をつくっていきたいですね。
mentoカスタマーサクセス担当の荒生とともに