ホーム
事例一覧資料一覧
キャリア自律プログラムに伴走型のコーチングを導入!パナソニック インダストリーが挑む社員のキャリア自律とは
キャリア自律プログラムに伴走型のコーチングを導入!パナソニック インダストリーが挑む社員のキャリア自律とは

INDEX

さまざまな電子デバイスの開発や生産を行う、パナソニック インダストリー株式会社(以下インダ)。同社は「想いを、動かせ。」を人財戦略コンセプトに掲げ、独自のキャリア自律プログラム「Career Action Program」(以下CAP)を2024年度より開始しました。CAPのプログラムは、キャリア研修のフォローアップの位置づけで、mentoのサービスである社外のプロコーチによるコーチングを導入いただいています。

本記事では、人財開発部 キャリア開発推進課 課長 柄沢さんに、キャリア自律プログラムとコーチングを導入した理由について伺いました。

「想いを、動かせ。」を形にしたキャリア自律プログラム

はじめに、インダの事業概要について教えてください。

柄沢さん:

インダは、AIサーバーやスマートフォンやクルマなど、さまざまなモノの中に入っている電子部品・電子材料等の開発・製造・販売を事業としています。2022年4月、パナソニックホールディングスの事業会社制移行により誕生しました。注力している分野は、車載CASE、情報通信インフラ、工場省人化の3つです。

人財戦略についてお聞かせください。

柄沢さん

事業戦略の目指す姿に紐づいて人財戦略を策定しています。これまでは「高品質な商品で、顧客の要望に真摯に対応する」ことが目指す姿でした。そのために、「堅実で真面目な人財」を求め、「同質的で団結力の高い組織」で、「ミスなく完成することが賞賛される文化」でした。2030年の事業目標を達成するために、事業が目指す姿を再定義し、「顧客の課題を先取り、一歩先行く提案力で社会変革をリードしていく存在になること」を目指す姿としました。そこで求められるのは、「その道のプロとして自己変革をし続ける人財」で、「多様な人財・知恵を活かしチーム成果を最大化する組織」をつくり、「挑戦することが賞賛され報われる文化(ファーストペンギン・ファースト)」です。目的・未来志向で挑戦し続ける企業風土の実現を目指しています。

この目的・未来志向で挑戦し続けることをブレイクダウンしていくと、自らの領域にとどまらず広い視野でもう一歩先を想い描くことや、想いをエネルギーに大小関係なく新しい何かに挑戦することであり、社員一人ひとりの「想い」が起点となるため、人財戦略のコンセプトを「想いを、動かせ。」と策定しました。社員の想いが芽生え、育まれ、形にして、実るという「想い無限サイクル」を加速させるために、会社は尊重し、機会を提供し、後押しをし、賞賛していきます。

想い無限サイクル

「想いを、動かせ。」という人財戦略の中で、インダ独自のキャリア自律プログラム「Career Action Program(CAP)」を推進されています。まずは立ち上げた背景を教えてください。

柄沢さん:

2023年度までは、パナソニックホールディングス全体でキャリアセミナーを実施していましたが、事業会社制に移行し、インダの人財戦略に沿った伴走型のキャリアプログラムの必要性を感じてインダ独自のプログラムを発足しようと舵を切ったのです。

以前のキャリアセミナーは33歳から53歳まで5年刻みで必須受講するというルールでした。しかし、キャリア採用で入社する社員が増加したり、育休などの休職をとる社員も増えたり、海外勤務者もいることもあり、従来のように5年刻みだとタイミングよく受講できない人が増えてきました。

また、当社では2025年4月から65歳定年制になりました。そうなると、54歳以降はキャリア研修を受けられないという従来のルールでは、50代後半から60代のキャリアを考えるタイミングが得られなくなります。必ず65歳まで働かなければならないというわけではありませんが、65歳まで働こうと思っている社員に、キャリアを考えるきっかけを提供していきたいと考えました。

そのため、受けたい人が受けたい時に受けられる仕組みとして新たにCAPを立ち上げたのです。

CAPの内容について教えてください。

柄沢さん

インダらしさにこだわり、人財戦略コンセプト「想いを、動かせ。」に沿った内容にしました。そして年齢一律での受講というルールを変えて、どの年齢でも受講でき、5年に1回自分で受けるタイミングを決められる挙手制にしました。キャリア自律を重視する当社では、学びたい社員に学びの機会を提供し、昇級も本人発意により公募制で実現していくなど、社員が自らキャリアを選択し、想いを実現できる人事制度にしています。それにもかかわらず、キャリア研修だけ受け身で年齢一律というのは、人事制度にもカルチャーにも合わないと考え、大きく変えることにしました。

キャリア研修は受け終わった後の行動が大切ですから、行動を促進しやすいようにDay1・Day2の構成としました。Day1は1日研修、翌月にDay2の1時間半のフォロー研修があり、さらにその後は最大4か月の選択形式の個別コースでDay1~最大6カ月間伴走支援していくという建付けにしました。

本人の中にあるキャリアのありたい姿を引き出すべく、コーチングを導入

CAPのプログラムの中で、コーチングによる4ヶ月の伴走支援を導入した理由をお聞かせください。

柄沢さん:

100人100通りのキャリアがあり、それぞれの想いに寄り添い、ありたい姿を考えるためには、一対一で深い対話が必要だと思い、それができるコースを作りたいと思いました。さらに、色々な選択肢がある中で視野を広げてキャリアを考えてほしいと考え、社外も含めたキャリア相談はなかなか社内の人にはしにくいと思ったので、社外のプロコーチによるコーチングができるパーソナルコースを立ち上げました。社外パーソナルコースの構築においては、当社では以前から課長以上にmentoのコーチングを導入しており、その実績が好評でした。キャリアのありたい姿は本人の中にあると思うため、それを引き出すことはコーチングでできるだろうと考え、コーチングの導入がベストだと判断しました。

社外に目を向けるとなると、転職してしまうというリスクを懸念する企業もあると思いますが、そのあたりはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

柄沢さん

転職も1つのキャリアの道ですから、その選択肢を排除する意図は最初からありませんでした。社内外を含めて人財が流動化するなか、社員がインダの良さを感じ、成長できる会社として選び続けてくれることは嬉しいことですが、すべての社員の全期間のキャリアを会社主導で導くことはできません。

社員に対して「想いを動かし、自分のキャリアを自分で考えて行動してください」とキャリア自律を促した以上は、会社も選択肢を用意し、社員の決断を受け入れる必要があります。そして、社員と会社は「選び選ばれる関係」ですから、会社が一方的に社員を選ぶのではなく、社員に選ばれるような会社として魅力づけをしていかねばならないと思います。

コーチングを導入するにあたり、mentoを選定した理由をお聞かせください。

柄沢さん

一つは、コーチングが期間内に受け放題であることです。1度や2度のセッションでキャリアの解像度が上がるわけではないため、コーチングを何度も受けられることは大きなメリットだと感じました。この期間に1〜2週間に1回のコーチングを受けて、キャリアにとことん向き合った受講者もいます。もう一つは、私自身が課長としてmentoのコーチングを受けているため、良さを実感しているからです。受けてもらうからには、良いコーチとの対話の時間を提供したいと思い、mentoにお願いすることにしました。

コーチングを通じて、受講者にどうなって欲しいというイメージを持っていましたか?

柄沢さん

自分自身のキャリアを考えることで、ありたい姿が見えてきて、何かしら行動が変わったらいいなと考えています。たとえば、いきなり高い頂を目指すのではなく、目の前の頂にのぼるためにどうするかを考えて、小さな一歩を踏み出すことや、将来のために新しいことを始めるなど、人それぞれ行動の大きさは異なってもいいと思います。

また、50代社員の挑戦を増やしたいという想いもありました。当社では50代が最も多い年代の労務構成です。65歳定年延長になり、50歳以上の経験豊富な社員の行動が変わることは40代以下の社員に影響を与えますし、その人財の行動が少し変われば会社としても大きな力になります。今までもやもやしていた人が、新たな一歩を踏み出し、「自分もこれならできそう」という兆しが見出せれば、この施策は成功だと思いました。

受講者全員が、自身の行動変化を実感!50代の社員にも変化が

CAPプログラム受講者の武田さんとともに

次に、コーチングの成果について教えてください。

柄沢さん:

定量面では、アンケート回答者の全員が「自身の行動変化を感じている」と解答しました。また、83%がパフォーマンス向上を感じており、75%が10段階中9以上の推奨意向を持ち、92%がコーチングの継続意向を示しています。総じて、非常に高い数値だと安堵しています。

特に、推奨度が高いことが嬉しいですね。口コミで広がることが、良いプログラムの条件だと思います。実際に、課長がコーチングを受けてよかったから部下に勧めたというケースもありました。今後もコーチングを受けた方が他の人に勧めることで、自分も受けたいという人が口コミで増えていけばいいなと思います。

武田さんのエピソードを聞いて、どう感じましたか?

柄沢さん:

嬉しい事例を聞くことができました。武田さんは公募での異動を選択しましたが、どんな選択でもよかったと思っています。モヤモヤしている自分を変えたくてCAPに申し込んで研修・コーチングを受けて、最終的に自信をもって一歩踏み出せたという結果が大事です。まさに想いを動かした事例が、CAP卒業生から出たことが、まず何よりも嬉しいですね。

コーチングの期待として「50代社員の挑戦を促したい」というお話もありましたが、成果としてはいかがでしたか?

柄沢さん

CAPに参加した50代社員の事例を2つ紹介します。ひとつは、コーチングをきっかけに、「自身が持っている情報を他の人にも伝えて標準化を進めたい」という想いに気付いた事例です。本人がその想いを上司や同僚に伝えたところ「ぜひ進めてほしい」と賛同を得て、現在ではその活動が進んでいるそうです。

もうひとつは、DXを推進したいのになかなか手を挙げられなかった50代社員が、CAPを受けたのちにチャンスをつかんだ事例です。コーチングで自身のやりたいことが明確になり、上司との1on1でDXの担当になりたいと伝えたことで、自部署でのDX担当者になったそうです。部署を異動しなくても自分の意思に気付き、それを周囲に伝えることでチャンスが舞い込んだ素晴らしい事例だと思います。

最後に、今後のCAPの展望をお聞かせください。

柄沢さん

CAPは、自分のキャリアについて考えたいという方なら、誰でも受講可能です。まずは、受けたいと思う人を増やしていきたいと思っています。きっかけは何でも構いません。上司から勧められたから、同僚が受けていたから、あるいは単に興味があるから、どんな理由でもいいので、必要な人にこのプログラムを届けていきたいです。

また、会社として提供できるCAPの伴走支援は最大6カ月間に限られます。その後のキャリアの方が圧倒的に長いです。だからこそ、職場で受講者同士が支え合える仕組みをつくりたいと考えています。もちろん人事主導で研修やイベントを主催するなど会社ができることもありますが、社員同士でお互いのキャリアを応援し合える動きが、社内のあちこちで生まれることを期待しています。

CAP受講者の武田さん、mento営業担当の藤本・宮城とともに

CAP受講者武田さんのインタビューはこちらから

あなたのお悩み・課題に合わせて活用方法をご案内します。
お気軽にお問い合わせください。