代表取締役 深川 泰斗さん
「自分は社長業に向いていないと感じていた」TimeTree代表がコーチングで見つけた”モチベーションの源泉”とは?
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きっかけは、「自分は社長業に向いていない」という想い
コーチングを受けてみようと思われたきっかけを教えてください。
深川さん:最初は自分のマネジメントスキルに課題を感じていました。会社が大きくなってきてリーダーシップを求められるようになってきたが、自分が元々持っているキャラクターとの乖離があるというのが悩みだったんです。
自分の力ではどうにもできないところまで追い込まれたので、なにか方法はないかとおもってコーチングを考えたのがきっかけです。
その後、セッションではどのようなお話をされたのでしょうか?
深川さん:僕も最初は問題がわかっていなかったのですが、問題はマネジメントスキルではなくもっとパーソナルなところにありました。
「社長業に向いていないな」とか、そういう想いで悩んでいたんです。それがどういうことなのか、どう付き合えばいいのかという話を掘り下げて、理解していきました。
悪いことは全部自分のせい、良いことは全部みんなのおかげだと思い込んでいた
当時はストレスを感じる状況だったのでしょうか?
深川さん:基本的に自分に自信がない質なので、「自分にできることは特に何もない」という想いが大きかったんですよね。
その中で、自分の得意不得意だったりパーソナリティも含めて理解することができたのが最初のころの大きな収穫ですかね。
メンバーに対して客観的な理解を示すための前段として、自分もきちんと会社に貢献しているんだとか、そもそももっと「生きてて良いんだ」という気持ちが重要だったんですよね、僕はすごくネガティブなので(笑)。
自己否定が強く「会社で起きた悪いことは全て自分のせい、良いことは全部みんなのおかげ」という風に自分をどんどん追い詰めていたことに、コーチとの会話の中で気づいていきました。
自分の得手不得手を自然に受け入れられるように
コーチングを通してどのように考えが変わったのでしょうか?
深川さん:言葉にすると安っぽいですけど、人はそれぞれみんな違っていて、僕も人とは違うことをきちんと自覚することができました。
そこから派生して、メンバーに対しても前とは違う理解をするようになりました。僕は僕が得意なことだと自然すぎて、みんなできて当たり前だと思う節があったのですが、人には得手不得手、苦手なこともあるということをより自然に受け入れられるようになってきたんです。
行動についても変化はありましたか?
深川さん:「会社で起きた失敗は僕のせいの部分もあるけど、全部が全部そうじゃない。僕が貢献できたこともある」という風にバランスが取れるようになりました。何もかも自分のせいだと思わなくなることで、頼れるようにもなったり。自分が得意なところはもう少し積極的に活かせるようになったりとか。
極端に言うと、生きててよかったと思えるようになりましたね。
会社の苦境と自分の幸せを切り離して考えるメリット
深川さん:経営者はうまくいってるときほど先を読まなければならずいつも安心できないし、悪いことがあると当然凹むし、何がハッピーなのかわからなくなります。そこと自分個人の幸せを切り離せるようになったのはありますね。
会社が苦境に立つということと、自分の幸せは切り離さなければならない。会社がどんな状況であれ、家に帰って子供と遊んだりしていればそれは幸せなんだと感じられるようになりました。何もかも僕のせいじゃないって気づいたので。
以前は、会社にいない時間、例えば家族サービスをする時間をコストとして捉えてしまうときもあり、それより仕事のことをゆっくり考えたいと思っていました。しかしいまは子供と遊ぶときはそれ自体に集中して楽しむことができます。
”モチベーションの源泉”を意図的に思い出すといつでもやる気になれる
それ以外に、変化を感じられたことはありましたか?
深川さん:もともとは「面白いものがすき」という気持ちで『TimeTree』を始めたんですが、近頃はそれだけで続かなくなってきたというのもありました。
起業するときは、プロダクト面白そうだという想いと、そのチームが好きで始めたんです。でも、プロダクトもチームも絶対に変わっていくじゃないですか。大きくなっていくし、大きくなるにつれて問題も増えていって。
最初に拠り所にしていたものが、状況が変わると拠り所にはできなくなってしまうんです。どんどんそのギャップが大きくなっていくのが自分にとって辛いのだということにコーチングの中で気づくことができました。
そこから深堀りしたモチベーションの源泉とは何だったのですか?
深川さん:世の中の最適を考えたらこうしたほうが良いのにという内容をそのままにしていること、不便に対しての怒りみたいなものが自分のモチベーションの源泉だとわかったんです。
『TimeTree』におけるカレンダー共有も、スケジュールは相手がいることがほとんどなのになんで各々のツールを使うんだろうっていうのが、許せないという気持ちがありました。誰かに対してではなく仕組みに対する「怒り」ですね。そこを言語化できたのがすごく良かったです。
面白かったのは、大変なことがあって「今日はちょっと休もかな」と思っても、「いま自分は仕組みを良くすることに注力すると決めたんだ」というモチベーションの源泉を意図的に思い返すとまたやる気が出てくる。不思議ですね。いまは自分でモチベーションを作り出せる状態にあります。
成果として、従業員90%が「以前よりモチベーションが高くなった」と回答
コーチングを受けたことによる業務への効果は感じますか?
深川さん:会社で暗い顔をすることが減ったんじゃないかな(笑)。
自分へのフィードバックのアンケートを会社で取ったのですが、僕に対して「以前よりモチベーションが高くなった」と回答したメンバーが90%でした。僕も社内でコーチングの内容を赤裸々に公開していたので、それを読んで参考になったという人もいたのが嬉しかったです。
↓深川さんが社内で行った簡易アンケート結果の一部
コーチは、言葉にしてないパーソナルなところまで気づいてくれる
森謙吾コーチやセッションについての印象はありますか?
深川さん:最初の体験の際に、自分からパーソナルな話はしていなくて、マネジメントの相談をしました。
それなのに「周囲の批判を過度に気にするのではないか」という指摘を森コーチにされたんです。どこからそれが思いついたのかなと思ってびっくりして。それがすごく思い当たる、言われてみれば確かにという納得感があったのでお願いすることにしました。
言葉にしてないパーソナルなところまで読みとって仮説をあててくれるところに魅力を感じたんです。
森コーチはとにかく話しやすい方です。話している間、自分のことを客観視できないというか、会話にのめり込んでしまう感覚があります。
セッションの途中経過はメモしてあるんですが、テキストとして参照することはもうなくなりました。自分の考え方やふるまいとしてきちんと定着したんでしょうね。
事業はメンバーと深掘りできるけど自分のことは自分しか深掘りできない
改めて、深川さんにとってコーチングの価値とはどんなものですか?
深川さん:言語化しないと、考えって深められないと思うんです。それも一足飛びに深められるわけではなくて、言語化したものを土台にまた深ぼっていくっていうプロセスが重要です。
言語化するには質問が必要で、それを最適な方にガイドしてくれるという意味でコーチが必要でした。
人によっては事業のことを深ぼることもあるんだと思うんですけど、僕は僕自身について話して良かったと思っています。
事業についてはメンバーと対話すれば深掘りできるが、自分については自分でないと深掘りできないので。自分のことを知れば知るほど、メンバーとのコミュニケーションも変わってくる。さらに、メンバーのことも深く理解できるようになるんです。
経営しているっていう立場で自分のことを知るっていうのはいろんなメリットがあると思います。
リーダーシップに関わる人に是非コーチングを受けてほしい
コーチングを受けてほしい人はいますか?
深川さん:うちの他の経営メンバーとか受けてもらうのも面白いなと思います。メンバーとのコミュニケーションが変わるっていうのがあるので、リーダーシップに関わる人は受けると良いと思います。僕がうけたときと同じなんですけど、自分の得手不得手、特性を理解することはとても大事です。
受ける前は自分が真ん中にいて、ノーマルな人間だと思っちゃうんですよね。そうじゃなくて僕も結構極端な人間なんだとか。そこを理解していると、自分の特性と他の人への影響力もより効果的に発揮できるし、他のメンバーとのこともより相対的に捉えてより良い関係が築けると思うんで。特に経営層は自分にとっての得手不得手を踏まえると、会社にとってもメンバーにとっても良いと思います。