
なぜフィードバックが職場に根付かないのか? 『世界標準のフィードバック』著者に学ぶ、管理職支援 - 開催レポート【Management Success Studio】
登壇者:安田 雅彦
1967年生。1989年に南山大学卒業後、西友にて人事採用・教育訓練を担当、子会社出向の後に同社を退社し、2001年よりグッチグループジャパン(現ケリングジャパン)にて人事企画・能力開発・事業部担当人事など人事部門全般を経験。2008年からはジョンソン・エンド・ジョンソンにてSenior HR Business Partnerを務め、組織人事や人事制度改訂・導入、Talent Managementのフレーム運用、M&Aなどをリードした。2013年にアストラゼネカへ転じた後に、2015年5月よりラッシュジャパンにてHead of People(人事統括 責任者・人事部長)を務める。2021年7月末日をもって同社を退社し、自ら起業した株式会社 We Are The Peopleでの事業に専念。 ソーシャル経済メディア「NewsPicks」ではプロピッカーとして活動。株式会社フライヤー社外取締役。
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2026年6月22日、株式会社We Are The People 代表の安田 雅彦さんをお招きし、「なぜフィードバックが職場に根付かないのか? 『世界標準のフィードバック』著者に学ぶ、管理職支援」というテーマでmento ウェビナー「Management Success Studio」を開催しました。
本記事では、そのウェビナー内容をお届けします。
(前提1)フィードバックが根付かない根本原因
早速ですが、なぜフィードバックは職場に根付かないのか?

そもそもフィードバックを成立させる信頼関係の土台がない。管理職にスキルと自信がなく、「パワハラと言われる怖さ」で率直に伝えられない。特に最近はこのような課題が多いですよね。
それから、1on1やフィードバックが儀式化して、日々のマネジメントとは切り離されて形骸化している。個々の管理職任せで、組織の習慣・仕組みとして設計されていない、という課題もありますね。
フィードバックを「個人の頑張り」から「組織の習慣・マネジメントコミュニケーション」へしていくにはどうしたらよいのか?
フィードバックは、方法論ではなく「マネジメントの本質」から捉えることが重要です。そのため、前半は「マネジメントとは何か」という前提を中心に掘り下げていきます。
私たちを取り巻く環境
まず、私たちを取り巻く環境はどのような状態か? この10年でどのような変化があったか?

低成長で不安定、産業構造は変化しているし、人口も減っています。
また、長期雇用や年功序列の働き方、というこれまでの当たり前はなくなりつつあり、マネジメントの転換に非常に影響を与えています。コンプライアンスへの視線も厳しくなっています。多様性やSDGsという言葉を耳にする機会も急激に増えたのではないでしょうか。そして、皆さんも記憶に新しいコロナというパンデミック。コロナ禍以降、デジタルネイティブでテクノロジーに明るいZ世代がどんどん社会に出ています。
このように変化が激しく「先が読めない不透明な時代」、VUCAとも言われます。10年どころか5年、3年、AIの世界でいったら数ヵ月で構造が変わっていくことをふまえると、そのような時代においても変わらない物事の本質や原理原則を捉えることが重要なんだと考えています。
理念・パーパス・MCCの不徹底が混乱を招く
少し脱線します。独立してからの仕事で多いのは顧問業で、様々な企業から相談があります。その9割が「人事制度を変えたい」という内容です。
「なんで人事制度を変えたいんですか?」と問いかけると、「なかなか若手の定着が悪くて」とか「シニア人材が活性化しない」とか「組織内のコミュニケーションがうまくいかない」とか「モチベーションが上がらない」などの答えが返ってきます。でも多くの場合、深掘りしてみると制度の問題ではないケースが多いんです。
制度の問題ではないことを制度で解決しようとするとうまくいきません。むしろ人事制度が複雑になり、混乱を招くこともあります。
じゃあ何が根本原因にあるかというと、ひとつは、経営理念やパーパス、ミッションビジョンバリュー(以下、MVV)が策定はされているが、徹底されていないということ。言ってることとやってることが違うと社員は白けます。

その浸透には、マネジメントコミュニケーションが重要です。日々の仕事のなかでしか浸透しません。そのためにも、「マネジメント」という概念が、人事やマネジャーだけでなく現場にも理解されていないことには、機能しづらいです。
組織における人間関係、信頼関係も重要です。今回のテーマでもあるフィードバックは、信頼関係がベースとしてきちんとあるからワークするんです。その信頼関係がないとフィードバックカルチャーは根付きません。ちなみに職務能力の80%は日頃の仕事で磨かれるとのこと。だとすると本来は、仕事をしているそばでフィードバックしながら育成する風土になっているべきです。でも、そうなっていないと社員は成長実感を得づらくなってしまう。
(前提2)「人的資本経営」におけるピープルマネジメントの要諦

「人的資本経営」が叫ばれるようになりました。人材を資本として捉え、ヒトの成長でビジネスの成長を実現させるときに最も大事なことは、上司と部下がどういう関係でいるか、マネジメントがどう行われているかなんです。紐解くと、重要な要素がいくつかあります。
こと、「成長機会」は重要です。エンゲージメントサーベイで出てくる3大不満ワードは、「給与」「会社方針の不明瞭さ」「成長実感」。ヒトの成長という観点ではこの成長実感をどう生み出すかが大切で、その鍵を握るのが目標設定なんですね。これは、今回のテーマであるフィードバックの本質でもあります。
また、「エンゲージメント」が重要とよく言われますが、ギャラップ社の調査によると、日本人の「明日もここで働きたい」というエンゲージメント率は7%、これは調査対象のなかでも一番低い。この、エンゲージメントを育むために重要なのが、会話とフィードバックです。今の頑張りが、我々の目指したいビジネスに対して、そして将来に対しても必ず寄与するということを会話とフィードバックで伝えていくからこそ、今を頑張ろうと思うし、成長実感が生まれる。
もうひとつ、大切なのが「上司にふさわしい人物」であること。部下に「あなたに言われたくない」と言われたら上司としてはアウトですよね。AIの著しい進歩もあり「課長に聞くよりAIに聞いたほうが早くて正確だった」みたいな世界にどんどんなってきています。そうすると上役に求められるのは「この人のようになりたい」「一緒に働きたい」という人間力。入山章栄先生もおっしゃっていましたが、これからは「何を言ったか」以上に「誰が言ったか」が非常に重要になってきます。
組織開発・人事戦略の考え方

では、どのように目標設定やフィードバックを機能させるか?
まず、基本的な組織開発の前提として、数字だけではなくパーパスに基づいて「売上が50億円から100億円になったら、どういう世界になるのか?」という写実的に描かれたビジネスゴールを設定します。
この中長期のゴールを見据えたときに、今の組織能力じゃ足りないギャップが見えてくる。このギャップを埋める方法は2つしかなくて、今いる人が育つか、採用するか。これをやっていくのが人事戦略・組織戦略なわけです。

社員視点でも同様です。図で示しているように、働いている人に「この矢印の方向で自分も成長したい」「この矢印の中で得られる成長機会が自分の将来にとっても有意義だ」と思ってもらう必要があります。
社員一人ひとりが自分は将来どうなりたいのか、現状だと何が強みで何が足りないのかを認識するために、マネジャーが会話とフィードバックによってエンゲージメントや成長への意欲を育む。そのような仕組みと風土を作っていくことが重要です。
エンゲージメントと心理的安全性・信頼関係

エンゲージメントと同時に重要な概念が心理的安全性です。ここで言う心理的安全性とは、なんとなく風通しがいいとかではなく、「この会社はこれはOK、これはNG」という明確な価値基準によって自律的な行動が促されること。
これを機能させるためには、「信頼関係」が不可欠です。
信頼関係は、自己理解と自己開示、他者理解、他者受容によって成り立っています。人間は何もしなければわかり合えません。つまり努力して信頼関係を作る必要があります。そのとき、うまくいかない誰かと誰かを、共演NGの特別扱いにしないことが鉄則です。つまり信頼関係を築くのは技術であると同時に、責任でもあります。
(前提3)マネジメントの本質

マネジメントについて考えてみましょう。マネジメントとは、与えられた責任を「目標」というかたちで一人ひとりのメンバーに与え、その達成のために能力やエンゲージメントを引き出し、組織能力を向上させることで成果を出し続けるチームを作ることです。
すなわち、マネジメントとはヒトの成長と価値創出・ビジネス成長を両立させることであり、ピープルマネジメントこそマネジメントの本質と言えます。
ピープルマネジメントは次のように分解できます。
まず「目標設定」。一人ひとりの頑張りが課の成果、課の成果が部の成果、部の成果が全社という、上位目標と連鎖したロジックツリーができているか。
その「目標達成プロセス」で能力・スキルを開発します。ストレッチした分だけ成長につながります。
そして「キャリア」。「将来マーケティング部長への志向があるあなたにこそ、あのクライアントを担当してもらいたい」といったように、「今これを担うことが将来のキャリアにつながるよ」という意図や期待をきちんと会話で伝える機会を作っていく。
このようにピープルマネジメントは、パフォーマンスマネジメントとほぼ同義だと思っています。
皆さん、ピープルマネジメントを日頃の仕事のうちどれぐらいを占めていますか?
グローバルカンパニーでは基本的に「100%ピープルマネジメントに徹しろ」と言われます。
一方、日本企業は僕の肌感覚だと50%前後だと思います。人員に限りがあり、変化も多いスタートアップ・中小企業はある程度仕方ないし、それでもいいと考えています。
ただ、果たすべき「責任」は同じです。そう考えると、背中を見せながらも、仕事をきちんと分担し、挑戦する機会を与えて、エンゲージメントを育んでいく。このようにプレイングマネジャーであってもピープルマネジメントをきちんと意識して実行すべきだと思いますね。
フィードバックとは成長に必要な「糧」
改めて、フィードバックがなぜ定着しないか? それは、ここまで説明してきたマネジメントの概念的な理解とトレーニングの不足によるところが多いと考えています。
私は外資系企業で20年近くマネジメントに携わってきましたが、おそらく1回も「フィードバックしろ」「1on1をやれ」と言われたことはないし、制度もなかった。でも1回も欠かしたことはなく、能動的に実践していました。
理由は簡単です。自分自身が、上司から1on1をしてもらっていたしフィードバックをもらってきたので、当然自分も部下に対してやる必要があると感じたんです。これがなぜ習慣化したかというと、部下の成果が出なければ、メンバーがすぐ退職してしまったら、当然上司が責任を問われます。この責任と具体性がなければ、フィードバックは定着しません。そして、社員の成長実感も生まれません。

フィードバックとは「Feed」(食べ物)と「Back」(返す)、つまり「糧を与える」という意味なんですね。期待されているあなたと実際のあなたの差分を、成長機会として伝える。相手の改善と成長を期待して、言いづらいこと・耳の痛いことを、誠意と敬意を持って率直に言う。これが本質です。
私がラッシュジャパンの人事部長だったとき、上司がイギリス人でした。月に1回Skypeで1on1をやっていて、たまに彼女が「マサ(安田さんの愛称)、ちょっと私から喋っていい? フィードバックはギフトって知ってるよね」とニヤッと言うわけですよ。すると私は「あ、なんか言われるな」と感じ取る。
「前回のプレゼンテーションはわかりづらかった。背景や具体性がなくて、あなたが言いたいことしか入っていなかったから、全く響かなかった。背景や日本固有の状況をきちんと書くと、他国の人もわかりやすいよ」と言われました。まさにフィードバックですよね。
その改善点を直すと、次のミーティングで「今回はすごく良かった!」と言われて、「グローバルレベルのプレゼンができるようになったんだな」と成長を実感するんです。成長実感は、このような日頃の現場の会話から生まれてくるんです。
フィードバックの良い例・悪い例
それでは、良いフィードバックと悪いフィードバックの例をそれぞれ見ていきます。

良いフィードバックのポイントは、事実をもとに話す、細かいところまで見てくれている、一貫性がある、タイミングが良い、ポイントを絞る、クリアで率直、自分の言葉で言う。悪いのはその逆で、ダメ出しから始まる、他人の言葉で言う……、など。
コツは、事実をもとに、敬意を持って成長を期待すること。影響の大きいものに絞って具体的に伝える。それから「センスがいまいち」のような、受け取り手がどう改善すればいいのかわからないことはフィードバックしないほうがいいです。努力して改善できることを指摘する。また、伝え手の決めつけや予想で伝えないこと、聞く耳を持つこと。
良い点と伸びしろをバランスよく伝えるのも大事です。「今日のプレゼンの内容めちゃくちゃ良かったよ。でも1個だけ言うと時間が長いわ。15分の持ち時間で、35分使ったらダメだよ」といったように。

あと、面談タイミングにこだわらず、フィードバックすることがあれば速やかに伝えること。「来週1on1があるから来週でいいや」と待つのではなく、すぐ言ったほうがいいです。それと「フィードバックしますね」と断りを入れてから伝えること。特にネガティブな場合はこの断りを入れないと、受け取り手にとってサプライズになってしまいます。
いずれにしても重要なのは信頼関係です。口を開けば仕事の話しかせず、自分を見てくれていないと感じるような上司から言われたことが、たとえロジックが通っていたとしても感情的には受け止めづらい、ということもあります。シンプルに言ったら雑談ですよね。雑談でもいいから日頃のコミュニケーションのレベルを上げていく。
日頃からフィードバックをすることで評価がサプライズにならないよう気をつける必要があります。「今期は頑張った、おそらくB評価かA評価だな」と思っていたところ、いざ評価を言い渡されたら「頑張ってくれてるけどC評価」。受け取り手からすると「そんなこと期中に一回も言ってくれませんでしたよね」というサプライズになりかねません。日頃から期待と実態の差分をきちんと伝えることが重要です。
フィードバック浸透のための仕組みとカルチャー
フィードバックのコツ「EEC」
具体的なフィードバックのコツを紹介します。重要な3つの要素が「EEC」です。

- 【E】 Example(例・事実)
- 【E】 Effect(及ぼす効果・影響)
- 【C】Congratulate / Change(褒める / 変更の提案)
例として、以下のフィードバックを分解してみます。
❝ 先日のリモートワーク説明会の件、スライドだけの説明だったために、スタッフの皆さんが正確に理解できておらず、少し混乱しているようです。次回は配布資料を準備してはどうでしょうか?❞
「先日のリモートワーク説明会の件、スライドだけの説明だったために」という事実(Example)、「スタッフの皆さんが正確に理解できておらず、少し混乱しているようです」という影響(Effect)、「次回は配布資料を準備してはどうでしょうか」という提案(Change)。このような構造になっています。
こう見てみると、特別で難しいことではなく、むしろ「意外と当たり前」な内容です。でも、意識しないと実際のシーンでは「あの説明だと、わかりづらいよ」で終わっちゃうことが多いんですよね。
このように、行動変容につなげるには、構造化してフィードバックするほうが効果的です。
フィードバックを機能させてこその目標管理であり評価制度です。フィードバックを根付かせるには、仕組み化とカルチャーによる習慣化をセットで考えてください。

フレーム①「360度フィードバック」

いくつかフィードバックのフレームを紹介します。まずは「360度フィードバック」。
4つの質問に、フリーコメントで書いてもらいます。
- あなたがこの方に期待することは何ですか?
- 仕事を通じて感じるこの方の「強み」を教えてください。
- 仕事を通じて感じるこの方の「伸びしろ」を教えてください。
- この方のより良い成果と貢献のために一言お願いします。
匿名ではなく記名で書いてもらいます。様々な角度からのコメントを読むことで自分自身への理解が深まります。素直に伝えてくれた人への感謝も生まれ、信頼関係構築にもつながる手法です。
フレーム②「More Stay Less」

「More Stay Less」もオススメです。リーダーが就任して90日くらい経ったときにフィードバックをもらう、などのシーンで活用できます。
本人が一度退室して、残ったメンバーでMoreとStayとLessをそれぞれ挙げていきます。「もうちょっとXXしてほしいかも」というMoreと、「やめたほうがいいかも」というLessは、「かも」をつけて伝えるのが大事です。Stayは「いいところだから続けてほしい」というポイントです。
書き終わったら本人が再度入室して、対話していきます。360度フィードバックをよりリアルに実践できて、短時間で行動変容や関係性の改善につながります。
フレーム③AAR (After Action Review)

プロジェクトの振り返りには「After Action Review(AAR)」がオススメです。
プロジェクトが終わった後に関係者が全部集まって、「何を意図したか」「意図通りにできたこと」「意図していないのに起きたこと」「意図通りにいかなかったこと」とその背景・理由を全部話します。プロジェクト進行中ではピリピリして言えなかった話が後からできるから、お互いのフィードバックができて教訓を得られます。
フレーム④1on1ミーティング

色々紹介しましたが、フィードバックを仕組み化・習慣化するのに一番いいのはやはり1on1ミーティングです。
ただし「1on1」と一括りに盛り込むのではなく、目的に応じて手法やタイミングを使い分けることをオススメします。「キャッチアップ」は短時間・高頻度。30分と例示していますが、15分でもいいです。
私がラッシュジャパンの人事部長だったときは、5人の課長と隔週15分で実施していました。開口一番「どんな感じ?」と調子を尋ねる。英語で言うと「How are you?」です。そこからメンバーのモチベーション、エンゲージメントを探る。「どんな感じ、と聞く1on1はよくない」という意見もありますが、私はそんなことはないと考えています。その後に仕事の話に入り、期待と実際のギャップをフィードバックします。
キャリアの話はどちらかというと中長期的な内容なので、毎週やる必要はなく、四半期に1回ほどの頻度がよいです。一方で、じっくり会話するためにお互い準備をして、1時間ほどは時間を確保してキャリアや強み、伸びしろ、ビジョンの話をします。
上司がセッティングする前提で説明してきましたが、上司を捕まえて1on1をお願いするのは部下の責任でもあります。これは『The First 90 Days』というハーバードのワトキンス先生の本でも紹介されています。
フィードバックにまつわる悩みと対策
パワハラを恐れない。正しく「叱る」とは何か?
パワハラという言葉を耳にする機会が多い時代です。ここでも「信頼関係」が重要です。
たとえば「叱る」ということについて考えてみましょう。「叱る」とはフィードバックです。辞書的には「声をあらだてて欠点をとがめる」とありますが、実際は期待と実態の差分を伝えることが「叱る」ことだと思います。
感情を多少は込めてもいいと思いますが、溜飲を下げるようなことはしない。「これってパワハラじゃないですか」と言われた時点で、関係は破綻したようなものです。

ポイントは「何もしなければ分かり合えない」前提で話すこと。また、上役の方は「自分はどういう人間で、何がOKで何がNGか」の価値観を示したほうがいいですね。それから、違いを認め多様性を育むこと。ただし、ゴールは絶対であり、ぶらしてはいけません。
低業績者へのアプローチ
フィードバックのお悩みとして、低業績者の取り扱いも多いですね。
「低業績者」を放置すると誰が困るか、という問いについて考えてみてください。

結論、全員が困る。低業績者を放置して、良いことはひとつもないんですね。絶対に放置してはいけません。
では具体的にどのようにアプローチすべきか?
まず、何度も繰り返していますが、期待と実態のギャップを明確に示す。意外と、自分が貢献できていないという自覚がない人が多いです。
異動や退職を待つのではなく解決を先送りにせず、今この瞬間から向き合うことが大切です。また、言いっ放しにするのではなく改善をサポートしましょう。外資系は簡単にサヨナラするイメージがありますけど、実はそうでもなくて、「来年どうやったら良くなるか」「上司である自分はあなたに何ができるか」という伴走を2年ほど続けて、それでもダメなら「他の選択肢を探したほうがお互いいいよね」という結論にいたります。
ここで私が特に伝えたいポイントは「誰も好き好んで低業績者にはならない」ということ。「なんでもっと若いときに、早いタイミングに言ってあげられなかったんだろう」と後悔することもあります。その日は突然来ないんです。なので早期発見・早期治療が重要。
改めて、叱るとはフィードバックです。言わないことは罪。パワハラを恐れず、勇気を持って正面から向き合うことが大切です。
ケース別フィードバックのコツ
そのほか、「自己評価が高すぎる部下へのフィードバック」「ネガティブコメントに凹みがちな部下へのフィードバック」「1言うと100返してくる部下へのフィードバック」など、いろんなお悩みがあります。このようなケースにおけるフィードバックのコツを最後に紹介します。
まず、客観的データを示すこと。理解を示しつつ数字で根拠を伝えること。また、一般論を引き合いに出したり、リスクを示したりする。一般論やリスクをどう捉えているかを問いかけることも効果的です。
凹みがちな人には、先にポジティブなコメントを伝えてからフィードバックするのが効果的です。
これはフィードバックを受け止めてくれない方への最終手段であり、最初から使ってはいけないことですが、どうにもならないときはポジションパワーを使うべきだと思います。「申し訳ないけど、責任をとる立場にあるあなたの上司としてこれは受け入れられないな」と伝える。
これらが機能するためにも、やはり日頃のコミュニケーションレベルを高く保つことが重要です。
本日お伝えしたい内容は以上です。皆さんのお役に立ちましたでしょうか?
いきなり全部は実践できないと思うので、まずは「雑談を増やす」とか、そういう一歩から歩みはじめてみるのも良いと思います。本日はご清聴、ありがとうございました。

