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創業108年の企業が挑む、マネジメントAIによる組織風土改革
創業108年の企業が挑む、マネジメントAIによる組織風土改革

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時計事業をはじめ、工作機械やデバイスなど幅広い領域で高品質な製品と独自技術を世界に提供するシチズングループにおいて、全体の事業統括を担っているシチズン時計株式会社。

創業から108年、かつては製造業ならではの背中を見て学ぶ社風だった同社は、人的資本経営の時代にあってキャリア自律の推進とともに「対話」を組織変革の柱に据えてきました。一方、メンバーの声を引き出す役割を担う管理職へ役割期待が集中する構造が課題となっていました。

構造的な課題への懸念の声も上がるなか、管理職の負担を増やすことなく対話の質を高める打ち手として、mentoのマネジメントAIを導入。その背景やねらい、導入プロセス、今後の展望について、人事部 部長の小林さんと、人事部 人財開発課の渡邉さんにお話を伺いました。

管理職リスキリングだけではなく、
管理職への役割期待集中の解消が急務だった

まず現状課題についてお伺いします。組織に対して、もともと小林さんが「ここに課題がある」と捉えていたことは何ですか?

小林さん:私が人事部長になったのが2022年なのですが、ちょうどその頃、会社として人的資本経営に舵を切るタイミングがありました。個人の成長を企業の成長につなげてほしいという経営の期待を受け、私としてもキャリア領域への関心が深く、一人ひとりの強みや個性を活かし成長につなげたい思いが強くありました。

当社ではこれまで、「社内副業制度」や「社内公募制度」のほか、社内にどのような仕事やキャリアパスがあるのかを知ってもらうための社内ポータルサイト「お仕事図鑑」の構築などに取り組んできました。2025年度からは社員が自らチャレンジしやすい状態をつくるため「社内にもいろいろな可能性があって、自分は今何ができて、これから何をしたいのか」を言語化してもらうべく、「対話」を重視して施策を打つようになりました。

キャリアに向き合うにあたり「対話」の課題はありましたか?

小林さん:当社はインターンの学生や社外の方からは、「穏やかながら熱い思いを内に秘めている」と言われることが多く、コミュニケーションスタイルとしては控えめなのだと思います。そうしたなかで、会社や人事部から「キャリア自律」「WILL」と急に言われても戸惑う社員も少なくなかったと想像します。

その結果として、現場のマネジメントがメンバーの声をいかに引き出せるかが重要になってきます。とはいえ、世の中的に「管理職の罰ゲーム化」が叫ばれるなかで、当社においても課長の皆さんが孤軍奮闘している状態にも見えました。

管理職の皆さんからは、具体的にはどのような声があがっていましたか?

小林さん:これまで、管理職全員にリスキリング研修を受けていただき、エンゲージメントサーベイや360度フィードバックなどを実施してきたものの、管理職からすると「エンゲージメントスコアに追われている」「管理職に期待が集中しすぎているのでは」という感覚があったようです。

渡邉さん:管理職研修でも、傾聴、仕事の任せ方、ストレングス・ファインダー®研修といった、相互理解やチームビルディングのための様々な施策に取り組んできましたが、そうした重要性を理解してはいても、自分のチームの状況に当てはめると「実際のアクションが難しい」という声もありました。

また、真面目な気質の管理職も多いがゆえに、「対話で聞いた要望は、聞きっぱなしにできず、管理職である自分が全て応えなければならない」というプレッシャーから疲弊しやすい傾向にありました。

AIコーチングへの期待、
「mentoがつくる信頼」が導入の決め手に

そのような課題に対して、どのような打ち手を策定しましたか?

小林さん:会社としてより良い対話のための土壌をつくっていくには、管理職だけでなくメンバーも含め、一人ひとりのマインドやスキル、行動が変わる仕組みをつくれないかと考えるようになりました。生成AIという一大トレンドへのキャッチアップも重要で、効率的に実現できるかというポイントも鍵でした。

そのようなタイミングで、mentoさんから届いたメールでマネジメントAIの情報を知り、「このサービスの話をすぐにでも聞いてみたい」と渡邉と話したんです。

「やりたいこと」とは具体的にどのようなことでしょうか?

小林さん:私は「管理職への役割期待の集中を解消しながら組織を良くしていきたい」と考えていました。また、メンバーが日々AIコーチと対話をすることで「話す側も自分の考えを言葉にすることができる」と考え、人と人の対話の質も向上していくだろうという期待もありました。

渡邉さん:私は「メンバー社員が一人で悶々と悩むのではなく、自分の考えを整理をしながら必要なアクションを明確にしていくにはどうすればよいか」を日々考えるなかで、小林と同じメールを見て、これなら無理なく「対話の質を高められるのではないか」という期待を持ちました。2人で話すなかで、それぞれの考えを両立できるサービスがマネジメントAIだという結論に至ったんです。

様々な手段が考えられるかと思いますが、マネジメントAIを選んだ決め手は何でしたか?

小林さん:私のなかでは類似サービスはないと考えていました。その理由の一つが、3回のトライアルでコーチングを受けて、コーチの質の高さとコーチング体験の価値を実感できたことです。「これまで良質な管理職コーチングを手掛けてきたmentoさんが開発したマネジメントAIなら、その知見が活かされた高いレベルの対話が実現できるだろう」と感じ、信頼に至りました。

トライアルで実現可能性を検証。
セキュリティ・AIのチェックも丁寧に進行

導入の推進にあたっては様々なハードルがあったかと思いますが、丁寧に一つずつ論点をクリアにして乗り越えて導入いただきました。実際にどういうアクションを取っていったか、振り返ってお聞かせください。

渡邉さん:まずはマネジメントAIのトライアルをお願いし、他の人事メンバーも含めて体験させてもらいました。AIコーチングのセッションでは、「テキストでの対話」と「音声での対話」を選択できるようになっていますが、小林がテキストを、私は音声をまずは試してみました。

最初に音声でセッションしてみた際、質の高い対話ができて、純粋に驚きました。AIが寄り添って話を聞いてくれる、承認してくれる、励ましてくれる、自分の思考が整理されるという体験ができ、短時間ながら「ちゃんとコーチングを受けた感覚」があったんです。「これを導入すればメンバーの発話が質高く引き出されて、上長にとってきっと新しい発見があるだろう」と直感し、導入を推進する決意が固まりました。

小林さん:私はテキストでセッションを試しました。当社のオフィスは会議室が多いわけではなく、また、テレワークも月5日までで基本的に出社している社員が多いため、常に音声でセッションできるとは限らずテキストセッションも検証する必要があったからです。セッションのアウトプット量は音声のほうが多いですが、「テキストでもちゃんとワークする」こともしっかり確認できて、よかったです。

セキュリティやAIに関するチェックではどのようなご指摘がありましたか?

渡邉さん:関係者と慎重に調整しながら進めました。まず情報システム部門に相談して、社員の対話内容が「学習されないか」など、データの扱われ方やAI導入のリスクについて、チェックポイントを出してもらいました。mentoさんと調整をしながら一つ一つクリアしていくことで、最終的に情報システム部門の許可が得られました。

また、サービスの特性上、プライベートかつセンシティブな内容をAIで扱うため、しっかり情報が守られるかという観点で個人情報保護の担当者とも調整しました。

リーガルチェックも行い、懸念が残った点については、mentoさんの通常のポリシーとは別に覚書として取り交わすなど、柔軟にご対応いただけたので、最終的にすべての関係部署に納得してもらった上で契約に進めました。

異なる課題感やニーズを持つ部署を対象にスタート

利用する部署はどのように選定しましたか? その推進にあたって懸念の声などはありましたか?

渡邉さん:まず、今回は初めての取り組みなので、スモールに4部門でスタートしようということになりました。

部門の選択はいろいろ検討しました。ある程度「ありたい組織像」を言語化できていて、ピープルマネジメントに関心を強く持っている管理職がいる部門。若手のメンバーやキャリア入社が多く、「悩みや相談したいことがあっても、それを本音で話せていない」メンバーが多い可能性がある部門。そもそも所属メンバー数が多くてマネジメントの負荷が高い部門などといった特性や課題のある部門を対象に選定し、管理職へ打診していきました。リアクションとしては、意外なほど好意的な反応のほうが多くて、ネガティブな声はあまり聞かれませんでした。

面白かったのは、マネジメントAIの導入にあたって、管理職が「実現したいと考えているポイント」が部門それぞれで違ったことです。ある部門では、あまり自分から積極的に話さない静かなメンバーが多いため、「日ごろから意識的に話しかけてメンバーのことを理解しているものの、それが正しい理解なのかどうかをちゃんと答え合わせしたい」というニーズがありました。

別の部門では、しっかりと自己主張するタイプのメンバーが多いものの、壁打ち相手として管理職が結構な時間を取られていて、「対話の質を担保しつつも効率化したい」というニーズがありました。それ以外に、AIによる業務改善自体に関心が強く、積極的にトライしてみたいという声もありました。

ネガティブな反応があるかもしれないと身構えて話を持っていきましたが、活用に対してとても前向きな姿勢で受け入れてもらうことができ、安堵しました。

実現したいポイントとして「“静か”な状態を健全に脱皮していただきたい」という期待の部門もあれば、「静かな状態からは抜けているけれども、その結果管理職のコミュニケーション負荷が増しているのでそれを解消したい」という期待の部門もあるのですね。フェーズの異なる部門の課題を同時並行で解決していきたいという考えでしょうか?

渡邉さん:そうですね。メンバーが自らよく喋ってくれる部門は、エンゲージメントの取り組みやチームビルディングを積極的にやっているので、心理的安全性もあって意見が出やすくなっています。だからこそ、その意見をどうまとめていくかの難易度が上がっている、という課題もあります。

対話が広げる「仕事のやりがいと楽しさ」

マネジメントAIによって、管理職とメンバー双方にどんな変化を期待していらっしゃいますか。

渡邉さん:まずメンバー側について、面談があっても「何を話せばいいかわからない」という人が少なからずいます。AIコーチングによる「自分との対話」を通じて、「こういうことを話していくと自分は前に進めるんだ」という勘所をつかむ経験をしてもらいたいです。

また、WILLや悩みを言語化できずにモヤモヤしたまま立ち止まってしまっている人には、自分の思考を整理して、ちゃんと自分の気持ちや意見を言えるようになり、それを習慣化していってもらえると嬉しいです。

管理職からは、半年後にどんな声が生まれていると嬉しいですか?

渡邉さん「メンバーの、今まで見えていなかった部分も見えるようになった」というエピソードが出てくると嬉しいです。また問題が顕在化する前に問題の芽を見つけて、適切なフォローが打てた、というような声が聞けたら嬉しいですね。

小林さん:内心、「何か期待に応えられないようなことを相談されたらどうしよう」「ちゃんと対話できるだろうか」と面談に対して身構えてしまう気持ちもあるんだろうなと思います。そういった心理的ハードルが取り去られて「対話って楽しいよね」という心構えに変化していってほしいです。

今回のインタビューを振り返り、改めて「対話の質」と「キャリア自律」が重要なテーマだと感じています。今後の展望として、結果的にどのような変化を見据えていますか?

渡邉さん:私はここ数年、若手社員のキャリア研修やキャリア施策に対するヒアリングなどで若手の意見に触れる機会が多かったのですが、前述のように思っていることはあっても踏みとどまっていると感じるケースが少なくありません。悶々とした気持ちは抱えつつも、自分でアクションを起こさないまま「自分の活躍するフィールドはここじゃないかも」と離職に繋がってしまうようなケースもゼロではありません。

なので、モヤモヤしていることがあれば自分から言葉にしていく、というアクションを一人ひとりが自発的に起こせるようになり、結果的に、社内で自分の活躍のフィールドを見つけていくことに繋がればいいなと思っています。

小林さん私は管理職が「仕事はやりがいがあって楽しい」と言える状態をつくりたいです。今は対話するにあたって、管理職とメンバーのお互いが十分なマインドやスキルを持っているわけではないため、どちらかに負荷が偏っていて、だから率直に意見を言えない、という状態があるのではないかと思います。

本音で対話しあえるようになった先には、メンバーの活力が高まり、仕事への手応えや成果にもつながっていく。そういう状態を個人だけでなくチーム単位で生み出せたとき、管理職の自信や組織全体の成果向上にもつながっていくと期待しています。

そのためにも、mentoさんには、これからも人の可能性に寄り添って、多くの人を元気にしていただけたらと思います。

小林さん、渡邉さん、導入の背景と熱い想いをお聞かせいただき、ありがとうございました!

インタビュアーを務めたmento 庄司、丹下とともに

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