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キャリアの限界を乗り越えて。自らもコーチングを学び、一人ひとりに寄り添うリーダーへ
キャリアの限界を乗り越えて。自らもコーチングを学び、一人ひとりに寄り添うリーダーへ

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NECグループの中核を担うSIerとして、官公庁・自治体・民間企業向けに、幅広いITソリューションを提供するNECソリューションイノベータ株式会社。1万人を超えるエンジニアと、長年培ってきた技術力・ドメインナレッジを強みに、AIを前提とした開発を加速させ、高度なセキュリティとAIガバナンスを基盤に、NECグループのAIネイティブカンパニーへの変革を牽引し、社会課題の解決と成長の加速に挑み続けています。

そんな同社では、将来の経営幹部人材を生み出すべく、その人材育成の一環として経営幹部候補や部長クラスを対象に、mentoのコーチングプログラムを手挙げ制にて実施。今回お話を伺ったIT・セキュリティ統括部 ディレクター(部長職)の山下 直美さんも、自ら手を挙げ、コーチングを受講。仕事やキャリア、ひいては人生の捉え方に大きな転換があったとのことです。その変化の軌跡に迫ります。

感じていた社内でのキャリアの限界。
昇進にともなう孤独感も

まず、山下さんがコーチング受講前に感じていた課題や、「何とかしたい」と思っていたことはありましたか?

山下さん:大きく分けて2つありました。一つは、これまで「もっと上位役職へ」という上昇志向を原動力に仕事に取り組んできたのですが、NECソリューションイノベータのIT・セキュリティ部門において、今後どのような成長や挑戦の機会を自分が目指せるのかが見えにくくなり、自身のキャリアが限界に近づいていると感じるようになっていたことです。

もう一つは、企画職として長年働いてきた一方で、「これが自分の専門性と言えるものなのか」「手に職があると言えるのか」という不安を拭いきれずにいました。IT部門に在籍しているなかで、企画業務は得意としている一方、IT分野自体の専門家ではないため「手に職があるわけではない」コンプレックスを感じていたんです。

その結果、定年後や会社を離れた後の自分を想像したときに、自分にはどのような価値を提供できるのか、どのように生きていけばよいのかが見えないという、将来への漠然とした不安を抱えていました。

コーチングではこれら2つのテーマを軸に進みました。

これらの課題がコーチングを受講していくきっかけになっていったんですね。

山下さん:いまお話しした課題感に加えて、2年前ディレクターに昇進して、これまで以上に、周囲に気軽に弱音を吐いたりや迷いを相談したりしづらくなると感じていたんです。「利害関係のない、安心して話せる相手がほしい」と感じていたときにコーチングを知り、受講を開始しました。

WILLは1本じゃなくていい。葛藤をほどいた二軸の発想

コーチングはどのような流れで進みましたか?

山下さん:まずはお互いの理解を深めるために自己開示をしつつ、私の考えやビジョンも共有しました。そのなかで、WILL・CAN・MUSTのフレームで整理していきました。私にはやりたいことがたくさんあって、CANやMUSTに対してWILLがとても大きいアンバランスな形だったんです。

コーチと話していくうちに「いまの仕事で達成したいWILL」と「仕事ではないWILL」とが混じっていることに気づきました。私は人がすごく好きで、人や組織の開発に関わっていきたい想いが強いんです。いまマネジメント職に携わっているとはいえ、人や組織に関することの比重はそこまで高くなくて。

そこでコーチが提案してくれたのが「二軸のWILL」という考え方でした。

「二軸のWILL」の持ち方について詳しく教えてください。

山下さん:「仕事におけるWILL」と「人生におけるWILL」を分けて捉える考え方です。仕事は人生を充実させるための一部であり、それがすべてではないと捉えられるようになりました。その結果、仕事以外の時間の使い方についても考えるようになり、人生全体の充実度を高めるために、時間やエネルギーを配分する働き方へと変化しました。結果的に仕事に向き合う際の集中力や安定感も高まったと感じています。

また、成果や評価よりも、自分自身の納得感を重視するようにもなりました。以前は、「期待に応えられているか」「評価されているか」を基準に、仕事の判断や行動をしている面がありました。コーチングを経て、他者からどう評価されるかよりも、自分自身が納得して取り組めているかを判断軸として重視するようになったんです。

「人や組織」と向き合うことがキャリアの軸になった

ディレクターとして葛藤や苦労を抱えたことはありますか?

山下さん:ありました。私が所属する統括部のIT領域には、私以外にもう一人ディレクターがいますが、すごく優秀な部長なんです。その人と自分を比べてしまって「なんで私はディレクターになったんだろう」「私はいなくてもいいじゃん」とくすぶっていた時期が少しありました。

その時はコーチに相談されたのでしょうか?

山下さん:そうですね。コーチは、「山下さんはその強みを持っていないのかもしれないけど、全体を俯瞰して組織を整えることができる。それから、社内のどこにどんな専門家がいるかを把握しているので、必要な時に必要な人を集めて問題解決に導くことができる。そういう俯瞰や調整の能力を買われたんじゃないかな」と客観的にフィードバックしてくれました。「たしかに、そうなのかもしれない」と腹落ちできました。

自分では「専門性がない」「手に職がない」と捉えていたこれまでの経験が、見方を変えれば十分に価値ある経験にあふれていることにも気づきました。コーチとの対話を通じて、IT部門での長年の経験や組織変革への関与、人や組織に向き合い続けてきた姿勢そのものが、既に一つの強みであり、専門性になり得るという視点を得ました。また、仕事での経験だけでなく、たとえば子育て経験も仕事に活きると感じました。

「持っていないものを補う」意識から、「既に持っているものをどう言語化し、活かしていくか」という考え方へ転換できたことは、本当に大きな気づきでした。

自分ならではの強みや自信に変わっていったんですね。

山下さん:そうですね。コーチングは、答えを与えられるのではなく、問いを通じて自分自身の考えを整理していくプロセスなんだと気づきました。どんな場面でエネルギーが高まるのか、どんな関わり方をしているときに手応えを感じるのか、これまで何度も繰り返してきた役割や行動は何か。

こうした問いに向き合う中で、自分は一貫して「人」と「組織」の両方に向き合う仕事に価値を感じてきたこと、また、人の成長や組織の変化を支える役割にやりがいを見出してきたことが、改めて明確になっていきました。

その結果、今後は役職や職種に限定されることなく、人や組織の可能性を引き出し、前に進むことを支援する役割を、自分のキャリアの軸として捉えるようになりました。

メンバーの人生に寄り添うため、自らもコーチングを勉強

メンバーの皆さんとは、どのようにコミュニケーションをとられていますか?

山下さん:月に1回の1on1をはじめ、隔週でフリーテーマで雑談する時間を設けています。それ以外にも会議の冒頭にチェックインをしたり、会議が早く終わったら雑談するようまめにコミュニケーションをとっています。

また、最近は自分自身でもコーチングを学び始め、資格取得に必要なコーチングセッション実績を積む一環で、1on1とは別にコーチングも実施しています。

コーチング資格の取得を目指すほど、山下さん自身コーチングの受講が大きな転換点になったのですね。

山下さん:そうですね、コーチングを学び始めた理由は3つあります。

1つ目は、自分自身がコーチングを受けたことで、思考が整理され、行動が変わり、周囲との関係性にも変化が生まれたことを実感したからです。この経験から、人や組織に関わっていくうえで、コーチングの考え方や関わり方を、より体系的に学び、実践したいと考えるようになりました。

2つ目は、現在8名のマネジメントに携わっていますが、一人ひとりのメンバーの人生に寄り添うためにも、確かな知識が必要だと思ったからです。

そして3つ目は、人に寄り添い、成長を支援することをライフワークにしたいと思ったからです。これが私の人生のWILLです。

一般的に「上司1人あたりのメンバー数は7人」と言われるスパン・オブ・コントロールの観点からみると、8名のメンバーと向き合うのは、少し負担が大きいことだとも想像します。そのなかでも、一人ひとりと丁寧に向き合われていると感じたのですが、どのような取り組みをされていますか?

山下さん:全員で「自分が大切にしている価値観ベスト5」を共有しあうワークやストレングス・ファインダー®を実施しました。仕事でコミュニケーションをとるときは、「どういう性格で、どんな強みがあって、何にモチベーションを感じていて、何を大切にしているんだろう」という一人ひとりの価値観や強みに寄り添う言葉をかけるようにしています。

チームに意志が宿り活性化。周囲にも影響し始めた

コーチング受講を経て、また、山下さん自身もコーチングも学び始めて、チームメンバーとの接し方で変わったことはありましたか?

山下さん:チームメンバーとの関わり方において、「自分がどう判断し、どう動くか」から、「相手がどう考え、どう行動できるか?」「相手がやりたいことは何か?」へと視点が移りました。

すぐに結論を出すのではなく、相手の考えや背景、価値観を丁寧に聴きながら、相手自身が言語化し、選択できる状態をつくる伴走型のスタイルを意識するようになったんです。

チームの雰囲気にも変化はありましたか?

山下さんチーム内ではメンバーが自分の言葉で意志を語る場面が増えました。また、自分自身のキャリアと向き合ったことで、メンバーにも主体的に自分のキャリアを考えてほしいという思いが強まり、業務支援だけでなく中長期のキャリア観について対話する「ライフパートナー」のような関わり方に変化しました。

チーム以外との関わり方においての変化はありましたか?

山下さん:私がコーチングを学び実践していることを公言しているので、他のディレクター職で「コーチングに興味があり学んでる」という人から、「一緒に部門横断でコーチングができるチームを立ち上げよう」と声をかけてもらいました。また、研修で一緒になったエンゲージメント向上に課題感のある他のディレクターから、「山下さんがやっている取り組みを教えてほしい」と声をかけられることもありました。

山下さんのメンバーと真摯に向き合う姿やチームの変化が、周囲に影響を与えていっているんですね。

メンバーを活かし、組織全体を持続的に進化させるリーダーへ

コーチングを経て、上位役職への意欲について変化したことはありますか?

山下さん:コーチングを受ける前は、キャリアを「どこまで上に行けるか」「次の役職は何か」といったポジション軸で捉える意識が強かったと感じています。コーチングを通じて、役職そのものよりも、どのような価値を提供し続けられるのかを軸にキャリアを考えるようになりました。

その結果として、必要とされる役割や立場があるのであれば、責任を引き受けたいというスタンスへと意識が整理されました。

今後どのような管理職・リーダー像を目指したいですか?

山下さん一人ひとりに寄り添いながら、組織全体を持続的に進化させていけるリーダーです。人を動かすことは「指示や管理」ではなく、本人の内側にある意思や可能性が自然に引き出される状態をつくることだと考えるようになりました。

対話を通じて価値観や方向性を共有する。「安心して本音を話せる関係性を築く」「自律的に考え、行動できる環境や仕組みを整える」といった関わりを大切にしながら、変化に柔軟に対応できる組織づくりに貢献していきたいと考えています。

最後に、世の中の管理職やリーダーの皆さんにメッセージをお願いします。

山下さん:管理職になると、誰かに相談されることは増えても、自身の迷いや不安をそのまま受け止めてもらえる場は少なくなると感じています。コーチングは、自分の横に立ち、一緒に考え、必要なときに背中を押してくれる伴走者のような存在です。また、利害関係のない第三者だからこそ、本音を話せるという特徴もあります。

キャリアの悩みやこのままでいいのだろうかという迷いに対して、否定せず、急かさず、励ましながら、前に進む力を引き出してくれるのが、コーチの存在でした。一人で考え続けるのではなく、定期的に立ち止まり、自分の考えや価値観を整理する時間を持つことで、「自分は何を大切にしたいのか」「次にどこへ向かうのか」が見えてきます。実行スピードも格段に上昇します。

責任ある立場にある今だからこそ、信頼できる伴走者とともに自分自身と向き合う時間を持つことは、管理職としての成長や持続的なパフォーマンスにつながると考えています。ぜひ、一度体験してみてほしいですね。

山下さん、本日は素敵なエピソードの数々をお話しいただき、ありがとうございました!

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