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管理職育成を次のステージへ──ビジネスコーチングで突破する現場課題
管理職育成を次のステージへ──ビジネスコーチングで突破する現場課題

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変化のスピードが増すなか、管理職に求められる役割はかつてより広く、複雑になっています。業務の進行管理にとどまらず、チームを支え、部下の成長を後押しし、組織全体に貢献できるリーダーシップが強く求められるようになりました。

そうした中で、従来の育成方法だけでは対応が難しい場面も増えてきたのではないでしょうか。現場の力を最大限に引き出すために、管理職育成そのものが次のステージへと進み始めています。

では、今の時代にフィットする「管理職育成」とは、どうあるべきなのでしょうか。

本記事では、人材開発・組織開発に携わる方に向けて、現場の課題に即した支援のあり方を再整理しつつ、ビジネスコーチングを含む育成施策の新たな可能性を探ります。

ビジネスコーチングについてくわしく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
【コーチ監修】ビジネスコーチングとは?|ティーチングとの違いやメリット・導入ステップなど徹底解説

管理職育成の重要度が高まる背景

管理職育成の重要度が高まる背景

企業の成長には、戦略やビジョンを実行に移す「現場の力」が欠かせません。その中核を担うのが、現場を束ね、メンバーを導く管理職です。組織の強さや成果は、まさにそのマネジメントの質にかかっています。

近年では、管理職に求められる役割が大きく広がっています。従来の目標管理だけでなく、多様な働き方を受け入れる柔軟性や、キャリアの意思決定を支援する視点、さらには変化の早いビジネス環境での意思決定力など、求められる力は多岐にわたります。

こうした変化に応えるには、管理職を「戦略を動かせる人材」として育てる視点が欠かせません。だからこそ、管理職育成の質を今こそ見直す必要があります。

現在多くの企業が直面する管理職育成の限界

管理職育成に力を入れる企業は増えていますが、それ以上に現場の課題は多様化・複雑化しています。マネージャーが担うテーマが増える一方で、現場でのつまずきも細分化されています。たとえば、部下との関係構築、若手の価値観とのギャップ、育成への時間不足など、悩みのかたちは様々です。

こうした個別性の高い課題に対し、従来型の一律研修だけでは変化を起こしにくくなっているのが実情です。だからこそ今、支援の在り方そのものを見直す局面にきています。

なぜ今「管理職育成」がうまくいかないのか?

管理職が本当に求めている支援と、人事が提供する施策にギャップがある

制度や仕組みとしての管理職育成は広まりつつありますが、その一方で、「研修をしても現場が変わらない」「マネージャーの行動変容が起きない」といった声はいまだに多く、実感値としての育成効果には課題が残っています。

mentoが2024年に実施した「ミドルマネージャーの実態調査」では、企業が提供している支援は「集合研修」や「e-learning」が中心で、「コーチング」の実施は16.4%にとどまっています。一方で、ミドルマネージャーが本当に求めているのは「管理職同士の交流」や「社外専門家によるコーチング」など、より個別性・対話性の高い支援であることが明らかになりました。(出典:mento「ミドルマネージャーの実態調査2024」

その背景にあるのは、支援の枠組みと現場の実情との間にある“ズレ”です。たとえば、制度として研修や1on1、OJTなどが整っていても、それがマネージャー個人の課題やチームの状態にフィットしていなければ、行動変容にはつながりません。つまり、制度や手法の充実だけでは不十分で、現場のリアルに即した支援設計が必要とされています。

ここでは、そうした構造的な“ズレ”がどこから生まれているのかを、特に顕著な3つの観点から整理していきます。

1.従来型研修の限界

従来型研修の限界

現場・人事・経営、それぞれが抱える“育成のすれ違い”

マネジメント人材の育成には、多くの企業が取り組んでいます。しかし「研修を実施しているのに、現場が変わらない」と感じるケースは依然として多く、企業全体として育成施策がうまく機能していない実態もあります。

この背景には、現場・人事・経営、それぞれの立場で見えている課題のズレがあります。どこに問題意識を持っているか、どこでつまずいているか。その観点が噛み合わないまま施策が進むことで、育成が空回りしてしまうのです。

一律の研修では“現場の悩み”に届かない

このようなズレが存在する中、階層別・テーマ別に設計された集合研修を一律に展開しても、「現場で生かせない」「自分ごとにならない」と感じるマネージャーは少なくありません。

実際、現場のマネージャーたちは以下のような複雑で多層的な課題に直面しています。

  • 業務設計や進捗の最適化が機能せず、日々の業務に追われて立ち止まって考える時間が持てない
  • 部下を育てる力が弱く、次世代を担う人材がなかなか育たない
  • チームの雰囲気づくりに失敗し、組織全体が前向きな空気を保てない
  • 多様な働き方や価値観への理解が浅く、メンバーとの摩擦が増えてしまう
  • キャリア支援の視点が欠けており、メンバーのモチベーションが下がっている
  • 環境変化への対応や意思決定が遅れ、チームとしての動きが鈍くなっている

実際、現場にフィットしない研修は、知識の定着や行動変容に結びつきづらく、施策そのものが形骸化してしまうこともあります。だからこそ、個々の価値観やチームの状況を踏まえた、個別性の高い支援が求められているのです。

2.現場任せの育成の落とし穴

現場任せの育成の落とし穴

OJTや上司による引き上げ型の育成は、実務に密着している反面、属人化しやすいという課題があります。忙しい現場では、育成は後回しになりがちで、マネージャー本人の経験や感覚に任せる場面も少なくありません。

  • 「とりあえず現場でやりながら覚えてほしい」
  • 「マネジメントはやってみて身につけるもの」
  • 「うまくいかない理由が、そもそもわからない」

こうした状況では、理解や気づきがあっても行動に結びつかず、結果として「わかったけど、変わらない」という状態に陥りがちです。つまり、「経験させたからOK」では育たないのが今の現実です。たとえ経験を積んでも、それを糧にできるかどうかは、本人の内省力と、それを支援する仕組みに大きく左右されます。重要なのは、やってみたあとに立ち止まり、考え、意味づけし、次にどう活かすかを対話しながら整理していくことです。

3.フィードバック不足と、コミュニケーションの欠如

フィードバック不足と、コミュニケーションの欠如

管理職が成長していくには、業務の振り返りと周囲からのフィードバックが欠かせません。ところが実際の現場では、1on1や面談が形だけになり、本来の対話の機能を果たせていないケースが多く見られます。

  • 1on1が進捗確認や報告の場になってしまっている(内省が深まらない)
  • 指摘のみで、具体的なアクションが提案できていない(実践に結びつかない)
  • 日常的に立ち止まって振り返る機会がない(変化のきっかけがつかめない)

フィードバックによって行動を変えるためには、「実体験を通じて気づく」「対話スキルを身につける」「振り返る場を持つ」といった一連のステップが欠かせません。加えて、「このままではいけない」「変わりたい」といった内発的な意志を引き出すことも非常に重要です。

そのプロセスが欠けたままでは、表面的な会話にとどまり、マネジメントの質はなかなか向上しません。育成においては、対話の質そのものを高める設計が求められています。

「既存施策単体」の限界と「掛け合わせ」のメリット

人材開発やリーダーシップ開発施策と組み合わせることで、相乗効果を得ることができる

前述した通り、各社が研修や1on1、OJT、サーベイなど、さまざまな育成施策を打ち出す中で、それでもなお「現場が動かない」「行動が変わらない」という課題は根強く残っています。つまり、既存の施策だけでは届かない部分がある、という実感が、多くの現場で共有されはじめているのです。

そこで注目されているのが、「既存施策」と「ビジネスコーチング」を組み合わせたアプローチです。ここでは、単体施策の限界と、掛け合わせによって何が変わるのかを整理します。

研修やサーベイだけでは「気づき」止まりになりやすい

管理職研修では、マネジメントやリーダーシップの基本を学ぶことができます。また360度サーベイでは、自身の振る舞いや評価を多面的に把握することができます。どちらも重要な施策ですが、知識を得る・フィードバックを受けるだけで終わってしまい、その後の行動変容まではフォローしきれないのが現実です。

  • 「研修内容は理解したが、実務でどう活かせばよいか分からない」
  • 「サーベイ結果は刺さったが、自分ひとりでは何をどう変えるべきか決めきれない」

こうした「気づき」のあとにどう動くかを支える仕組みが、今まさに求められています。

コーチングと組み合わせることで、「内省→行動」のサイクルが生まれる

ビジネスコーチングは、研修やサーベイで得た学びを「行動」に変える架け橋になります。たとえば、研修で得た知識を自分の現場でどう使うかをコーチとともに考える。サーベイで見えた課題について、何を変えていくかを言語化し、伴走支援を受けながら進めていきます。
このように、コーチングを並行させることで、「内省→行動」のサイクルがまわるようになり、施策全体の定着度・再現性が高まります。

「掛け合わせ」で生まれる3つの効果

1. フィードバックを受け止めやすくなる

ポイント:心理的な抵抗を和らげ、前向きな内省を促す土台がつくれます。

研修やサーベイで課題を指摘された際、「自分の弱みを指摘され、否定された」と感じてしまうことは少なくありません。コーチングでは、一方的な指摘ではなく、本人の考えや感情を丁寧に言葉にするプロセスを通じて、気づきを受け入れやすくします。

2. 自然なモチベーションで行動につながる

ポイント:意欲や関心に沿ったアクション設計が、継続の原動力になります。

コーチングでは、内省とセットで「次に何をやるか」を明確にします。目標は外から与えられるものではなく、自らの意思で定めるため、納得感が高く、無理なく実行に移しやすくなります。

3. 変化が継続し、組織内に広がりやすい

ポイント:一人の行動変化を継続的に支えるだけでなく、その影響が組織内に波及していくことも期待されます。

新しい気づきやアクションは、一度実践しただけでは定着しづらく、時間とともに忘れられてしまうこともあります。コーチングでは、段階的に変化を振り返りながら軌道修正を行うプロセスが組み込まれているため、行動の継続と習慣化を支援できます。

場合によっては、対象者の上司や部下、同僚といった周囲の声を聞き取り、外部からの変化の有無を確認するケースもあります。こうしたフィードバックを通じて、本人だけでなく周囲との関係性や職場全体の雰囲気にまで変化が広がることもあります。

汎用的なプログラムで伝えたいメッセージ(制度・研修)と、現場で個々が抱える具体的な課題(コーチング)を接続することで、受け手が納得感を持って行動を選び取りやすくなります。

現場との“接続”が深まることで、個別最適な育成が可能に

マネジメントの課題は一人ひとり・チームごとに異なります。そこで、共通施策(研修・制度)と個別支援(コーチング)を掛け合わせることで、「全体最適」と「個別最適」の両方が可能になります。

  • 組織として伝えたい考え方や行動方針(研修・制度)
  • 個人が感じている課題や現場のリアル(コーチング)

この2つをつなぐことで、マネージャーが納得感を持ちながら、行動に移していける支援体制が整っていきます。

管理職育成施策×ビジネスコーチングで成功した具体例

管理職育成施策×ビジネスコーチングで成功した具体例

mentoのビジネスコーチング利用者を対象にした調査結果からも、コーチングを受けた管理職の約9割が「自分自身の思考や行動が変わった」と実感し、8割以上が「対人関係や周囲との関わり方にも変化があった」と回答。

こうした高い行動変容率は、コーチングを既存の育成施策と組み合わせることで、現場での実践的な変化がより確実に生まれることを示しています。

それでは、実際に「管理職研修」と「ビジネスコーチング」を掛け合わせた場合、どのような成果が得られるのでしょうか。

管理職研修×ビジネスコーチング

施策概要:研修の学びを“実行可能な行動”に変える

一般的な管理職研修では、リーダーシップ理論やマネジメント手法など、知識インプットが中心になりがちです。そこで、研修後にビジネスコーチングを組み合わせて、「学びを行動に変える仕組み」を補完します。研修で得た気づきや課題意識をもとに、コーチとのセッションを通じて具体的なアクションプランに落とし込み、実践と内省を繰り返すことで、行動変容と成果につなげていきます。

施策単体と施策×コーチングの比較

観点

研修のみ

研修 × コーチング

学びの定着

一過性になりやすい

継続的な対話により、行動変容を促進

成果への波及

評価が曖昧

実務上の変化が可視化されやすい

管理職の反応

「知っている」にとどまる

「やってみた」「振り返った」経験に転化

具体事例

パナソニック インダストリー株式会社では、従来の管理職向け研修だけでは現場での行動変容が限定的であるという課題を抱えていました。そこで、研修修了者に対し、mentoの1on1コーチングを組み合わせて導入。

研修で得た知識や気づきをもとに、コーチとの対話を通じて「自部署の課題」や「現場で直面しているテーマ」を明確化し、個別のアクションプランを設定。内省と実践を継続的に繰り返すことで、部下との関係性の改善や意思決定のスピードアップといった具体的な成果につながりました。

出典:mento事例「パナソニック インダストリー株式会社

施策導入時の留意点

  • 研修設計時にコーチングとの接続ポイントを明確にする
    例:「研修で立てたアクションプランを、コーチと毎月レビューする」など。
  • 実施後の評価指標(行動・変化)を事前に定めておく
    気づきがあったか」ではなく、「何をしたか/何が変わったか」を評価軸に。

1on1 × ビジネスコーチング

施策概要:対話の質を高め、意味ある1on1へ

1on1ミーティングは、上司と部下の信頼関係を築き、現場の声を拾い上げる貴重なコミュニケーションの場です。しかしながら、「何を話せばいいかわからない」「報告の場で終わってしまう」といった課題も多く、形式的に運用されているケースが少なくありません。

ビジネスコーチングを組み合わせることで、こうした1on1の“質”が大きく変化します。マネージャー自身が「どう部下と向き合うか」「何を問いかけ、どう聴くか」を内省しながら実践することで、1on1が単なる面談ではなく、相互理解と成長を促進する時間へと進化します。

施策単体と施策 × コーチングの比較

観点

1on1のみ

1on1 × コーチング

継続性

形骸化・中断しやすい

継続的な支援により習慣化されやすい

対話の質

一方的な報告や雑談に留まる

「傾聴・問いかけ・承認」が定着し、成長支援につながる

エンゲージメント

やや限定的

mento導入企業でエンゲージメントスコアが最大14ポイント向上(※mento調査より)

具体事例:エンジニア組織でのリーダー育成に成功(パーソルクロステクノロジー)

パーソルクロステクノロジーでは、社内1on1の文化が根付いていたものの、マネージャー候補者の増加に対して十分な支援が行き届かないという課題がありました。この課題に対し、mentoのプロコーチによる支援を導入。マネージャー登用前の段階から、受講者が自己理解を深め、自分のキャリアやリーダー像を言語化するプロセスをサポートしました。

その結果、受講者が自信を持ってマネージャーに登用されるようになり、登用後も迷いなく意思決定できる状態を実現しました。1on1の場が、部下との信頼関係を築き、学び合う機会として定着するようになりました。

出典:mento事例「パーソルクロステクノロジー株式会社

施策導入時の留意点

  • 「1on1強化の目的」を明確にする
    例:「次世代リーダーの早期育成」「エンゲージメント向上」など。
  • 社内1on1との役割分担を設計する
    社内1on1:日常の業務支援やフォロー
    コーチング:中長期のキャリア内省や行動変容支援 など。

360度サーベイ × ビジネスコーチング

施策概要:フィードバックを“行動の起点”に変える

360度サーベイは、上司・同僚・部下など多方面からの評価を受け、自己認識とのギャップを可視化できる有効な手段です。しかしながら、その結果が「見て終わり」「一過性の気づき」で終わってしまうケースも少なくありません。

この“気づき止まり”を打破するのが、ビジネスコーチングとの掛け合わせです。コーチとの対話を通じてサーベイ結果を深く内省し、自分なりの改善アクションを定め、行動に移す。この流れを支援することで、サーベイが“成長のきっかけ”として生きるようになります。

施策単体と施策 × コーチングの比較

観点

360度サーベイのみ

360度サーベイ × コーチング

気づきの深さ

結果の受け取り方が表面的になりがちで、一部ネガティブに受け止めて終わるケースもある

結果の背景や意図を深掘りし、自分の価値観・行動パターンへの内省が深まる

行動への接続

気づきはあるが、日常業務の中で具体行動に落とし込むのが難しい

コーチと対話しながら「目標設定→行動計画→振り返り」ができ、実行・継続に繋がりやすい

組織への波及

個人の変化が周囲に伝播しにくい

自己変容が職場の信頼構築や関係性改善に波及

具体事例:結果を“自分ごと”に転換し、変化が継続

伊藤忠商事では、グローバル人材のマネジメント力向上を目的に、360度サーベイとコーチングを組み合わせた取り組みを実施しています。コーチングを通じて「どのような行動を変えるべきか」「どのように現場で実践するか」を明確にし、実際の行動変容やマネジメントスタイルの進化につなげています。

このようなプロセスにより、対象者からは「自分のマネジメント課題を明らかにすることができた」「意識的に行動を変えることで、周囲の反応も変化した」といった声が上がり、組織全体のマネジメント力向上に寄与しています。

出典:mento事例「伊藤忠商事株式会社

施策導入時の留意点

  • サーベイ前に「結果の活かし方」を設計する
    フィードバック後の内省・対話プロセスを事前に組み込むことで、“見て終わり”を防止。
  • スコアだけでなく“語られない背景”にも注目する支援設計を
    コーチとの対話で、結果の解釈や行動の意味づけを深めることが重要。

その他のビジネスコーチングの事例についてはこちらの記事をご覧ください。
マネジメント課題を解決するビジネスコーチング事例8選

その他施策との掛け合わせで広がる活用可能性

ビジネスコーチングは、管理職育成施策との組み合わせだけでなく、他の人材開発プログラムにも柔軟に適用できます。ここでは、特に注目されている「タフアサインメント」と「女性活躍推進」との掛け合わせについて紹介します。

タフアサインメント × ビジネスコーチング

難易度の高いチャレンジを“学びの機会”へ変える

タフアサインメント(難易度の高い業務への抜擢や異動)は、マネージャー候補の成長機会として非常に有効です。しかし本人の準備不足や内省不足のままでは、負担ばかりが増し、成長につながらないリスクもあります。

ここにコーチングを掛け合わせることで、

  • このチャレンジの意味を整理する
  • 直面している状況を客観視する
  • 次の一手を言語化し、行動計画に落とし込む

といった内省と実行のサイクルが生まれ、試練の場が「学びの機会」へと転化します。

ポイント: 任命直後・中間・終了後など、要所にコーチングを配置すると、より深い成長につながります。

女性活躍推進 × ビジネスコーチング

「選ばれる人」から「自ら選ぶ人」へ。意志あるリーダーを育てる

女性管理職の登用やリーダー候補の育成は、多くの企業で継続的な課題となっています。制度面の整備が進む一方で、自信のなさや、ロールモデルの不在、意志形成の機会不足といった“内面的なハードル”が立ちはだかる場面も少なくありません。

こうした内面の課題に対して、ビジネスコーチングは有効な手段です。コーチとの対話を通して、

  • 自分は何を大切にしたいのか
  • どんなリーダーとして在りたいのか
  • キャリアの節目でどのような選択をしたいのか

といった問いに向き合い、自分の意志で未来を選び取る力を育てていきます。

ポイント:意志形成や覚悟の醸成に焦点を当てた設計が成功の鍵。人事制度との連携によって、より効果的な展開が可能になります。

“施策の掛け合わせ”で、育成の質を次のステージへ

ここまで、研修・1on1・360度サーベイなどの既存施策にビジネスコーチングを組み合わせることで、管理職育成がどのように深化するかを、具体的な事例とともにご紹介しました。

共通して見えてきたのは、「施策同士の連動」による3つの大きな効果です。

  • 知識や気づきを“行動”につなげる
  • 汎用的な教育と個別最適な支援を両立できる
  • 組織的な課題と個人の想いをブリッジできる

どれか一つの施策だけでは届かなかった変化が、掛け合わせによって動き出す。そんな変化の兆しが、各企業の現場から届いています。

導入を成功させるための4つのポイント

1. 目的・目標を明確にする

「どんな変化を生みたいのか」を最初に定めることが肝心です。たとえば、「研修後の行動変容を促したい」「次世代リーダーの意志形成を支援したい」など、目的に応じた設計が必要です。

2. 施策間の“接続ポイント”を意識する

研修のアクションプランをコーチングでフォローする、サーベイ結果を内省と行動計画に落とし込むなど、施策を断絶させず、行動につなげる流れをつくることが重要です。

3. 継続的な効果測定を行う

満足度だけでなく、「行動がどう変わったか」「成果につながったか」を継続的に測定することで、施策の改善や定着が進みます。

4. 適切なコーチと体制を選ぶ

対象者の階層や目的に合ったコーチの選定、支援の範囲を整理したうえでの導入体制づくりが、施策の実効性を高めます。

育成を“文化”として根づかせるために

成果と育成の両立、個と組織の接続、そして変化に強いチームづくり。こうした“現場の変化”に本質的に届く支援を行うには、一つの施策だけで完結させようとするのではなく、掛け合わせの視点を持つことが重要です。

私たちmentoは、これまで60,000時間を超えるビジネスコーチングの支援を通じて、数多くの現場の変化と向き合ってきました。現場が動くのは、知識の量ではなく、気づきと行動の質が変わったとき。その変化を支える存在として、私たちは「一人ひとりに最適な支援」のかたちをこれからも追求していきます。

育成を“文化”として根づかせる。その挑戦に、ビジネスコーチングは必ず力になります。

あなたのお悩み・課題に合わせて活用方法をご案内します。
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