
総務人事部 人事グループ チーフスタッフ 三浦麻里さん
総務人事部 人事グループ リーダー 安藤愛さん
コーチに話すからこそ気付く、自分の“癖”と成長の糸口――大成ラミックの人事がコーチングで得たものとは
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食品などの液体・粘体用包装フィルムの製造から、食品をフィルムに詰める充填機の開発・販売を行う大成ラミックグループ株式会社。独自のビジネスモデルを確立し、ニッチな業界で大きく躍進しています。同社では、社員の内省や成長を促すために、コーチングを導入しています。今回は、総務人事部 人事グループで活躍する三浦さんと安藤さんに、コーチングを通じて見えてきた変化や気付きについて、お話を伺いました。
それぞれの転機で抱える悩みが、コーチングのテーマに

まずは、三浦さんと安藤さんのこれまでのキャリアと、現在の仕事内容についてお聞かせください。
三浦さん:
新卒で当社に入社し、最初は営業事務を7年経験した後、総務人事部に異動して12年になります。現在は人事グループで、採用、労務管理、給与を担当しています。チーフスタッフという役職は専門職で、関係部署と連携しながら、業務を高いレベルで全うするポジションです。
安藤さん:
2015年に当社に新卒で入社し、最初は品質保証部に配属となりました。そして2023年に総務人事部に異動となり、現在は産休・育休や介護休業の手続きや、従業員からの相談に対応しています。そして今年の4月からリーダーとして、グループの運営にチャレンジしています。
コーチングでは、どんなテーマで話したいと考えていましたか?
三浦さん:
私はこれまで2回コーチングを受けています。1回目は2年前、タイミングとしては今の安藤さんと同じように、グループのリーダーに就任するタイミングでした。当時は「私なんかでチームをまとめられるのかな」と不安だったので、リーダーとして自信をつけたいと思っていました。また、リーダーという役職に限らず、自己肯定感を上げたいと感じていたので、そういったテーマでコーチと話を進めていきました。
そして今回は、マネジメント職から専門職であるチーフスタッフに転換するタイミングで受けました。新しい役割になって、「自分のスタンスはこのままでいいのか」という悩みが出てきた時期でした。日々の業務に追われて自分を顧みる時間を確保できない中、モヤモヤをそのままにするのではなく、コーチに相談をすることで専門職としてもう一段の成長をしたいと思ったんです。
安藤さん:
私は昨年の10月からコーチングを受け始めました。人事グループに異動して1年ほど経った時で、リーダー就任の話が出る前のことです。品質保証部からの異動であったため、総務人事部に異動した当初は、仕事を覚えるのに必死で、悩みを感じる余裕さえもありませんでした。
しかし1年ほど経過して仕事に慣れてくるとなんとなくモチベーションが停滞してしまい、そして様々な仕事を任されるようになったからこその悩みが出てきました。やりたいこと、やらなければならないことがどんどん増えて、どのようにすれば効率的に進められるのか整理したかったんです。そして、人事グループには他部署からの相談や、労務関係のトラブルなどが寄せられます。それらをどのように解決していけばいいのか、コーチングで話したいと思いました。
コーチと話すことで、自身の行動の傾向や課題に気付くことができた/三浦さん

三浦さんが1回目にコーチングを受けたときに、印象的だったことを教えてください。
三浦さん:
1回目にコーチングを受けた時には、理想のリーダー像と現実の自分を比較して、そのギャップに不安を感じていました。私がイメージしていたリーダー像は、ぐいぐいと周囲を引っ張っていくような、仕事をパワフルかつ完璧にこなす姿でした。でも、コーチに「そんな超人のような姿に到達しないと、ご自身をリーダーとして認められないのは辛いですね」と言われて、ハッとすると同時に気持ちが軽くなりました。
そこからコーチと話して、自分なりの目指すリーダー像を明確にしていきました。そうするうちに、私が目指したいのは「身近なリーダー」だということがわかってきました。メンバーを尊重して、必要な時には手助けし、大丈夫そうなら任せる、そんなリーダーを目指そうと思えるようになったんです。
コーチと共に、自分なりのリーダー像を言語化していったのですね。
三浦さん:
コーチと話すうちに「意外とここまでは到達しているんだな」と自分の現在地を確認できましたし、2年後、3年後とマイルストーンを置いて目指す姿に着実に近づいていけると思えるようになりました。

2回目のコーチングのテーマとして「モヤモヤをそのままにしたくなかった」とおっしゃっていましたが、それは具体的にどのようなことでしょうか。
三浦さん:
コミュニケーションの齟齬によるモヤモヤです。私は、人に何かを伝える時に言葉足らずな傾向があります。「相手も当然理解しているだろう」と、自分と相手が同じという意識で伝えてしまうせいで、認識の食い違いが生じていると感じることがあったんです。それがモヤモヤの原因だと、コーチと話すうちに気付くことができました。
実際に「私は相手がこう感じていると思った」とコーチに話した時、「では次回までに確認してみましょうか」と言われ、本人に聞いてみたことがあります。すると、私の認識とは違ったんですね。他にも、モヤモヤをコーチに話していくと、すべて私の言葉足らずなところや思い込みが原因だということに気付きました。コーチングを経験して、自分のコミュニケーションの癖のようなものが見えてきたのは大きな収穫だと思っています。
それによって、ご自身の意識や行動がどう変わりましたか?
三浦さん:
積極的に周囲に話しかけるようになりました。そうすることで、今まで私の言葉足らずが原因で発生していた情報共有のミスが明らかに減ったという実感があります。以前は、「忙しいところに話しかけたら迷惑かな」「仕事を急かしているみたいで鬱陶しいかな」と考えていたんです。それは、私自身がそうされるのがイヤだったから。しかし、蓋を開けてみれば迷惑がられることはなく、むしろ「話しかけてくれてよかった」「うっかりしてた、ありがとう」と感謝されて驚きました。
自分と他の人は違うのだということに、コーチングをきっかけに気付いたんです。そこからは、少しでも気になったらコーチの話を思い出して、モヤモヤする前に積極的に関わるようにしています。
自分の「波」をリアルに把握することで、ウェルビーイングな状態に/安藤さん

安藤さんはコーチからの問いやフィードバックで、印象的なことはありましたか?
安藤さん:
同じコーチに継続して話を聞いてもらっているので、どんどん自分に対する理解が深まり、新しい発見もありました。
特に印象に残っているのは、コーチからの「安藤さんは色んな感情で物事を捉えているんですね」という言葉です。たとえば、大きなイベントがあるときに「失敗したらどうしよう」というネガティブな気持ちがわいてきます。しかし一方で、「心配していることはだいたい起こらないし、時間が経てば終わることだ」という冷静で楽観的な自分もいるんです。そんな風に、ひとつの事象に対して多面的に考えることができる自分に気付きました。
あとは、コーチに「安藤さんには、ご自身の譲れない大切にしている点があるんですね」と言われたことから、頑固な自分を発見しました。
「頑固な自分」というのは、具体的にどういうことですか?
安藤さん:
従業員からの相談に対して、要望通りに対応するのはたやすいと思います。しかし、会社にはルールがあり、特定の従業員に偏った対応をするわけにはいけません。だからこそ、みんなに公平であるかを自身に問いかけながら対応をしています。

他に、コーチからのアドバイスで役立っていることがあれば教えてください。
安藤さん:
私は時間に追われると、やるべきことをどうしても後回しにしてしまう癖があります。それをコーチに話した時に、「あらかじめ、そのタスクに取り組む時間の枠を確保しておくことも一つの方法ですよ」とアドバイスをいただきました。特に、自分一人ではなく誰かと一緒に進めなければならない業務は、「相手を巻き込んで一緒に作業する時間枠を確保する」という具体的なアクションを約束しました。
自分だけで時間を決めても、甘えてしまって結局後回しになりがちです。しかし人を巻き込めば、その時間にやらざるをえません。コーチングをきっかけに、そういった時間の使い方を意識するようになりました。
コーチングによって、ご自身の意識や行動がどのように変わりましたか?
安藤さん:
コーチングによって自分の状態を定期的に知ることで、ウェルビーイングな状態にいられるようになりました。コーチと話すことで、「今週は調子がいい」とか「ちょっと今は疲れているな」という波を、リアルに把握できます。それと同時に、良い時も悪い時もあるけれど、全体をならして見れば一定なことに気付いたんです。だから、ちょっと疲れていたりしても、「それがずっと続くわけではない」と考えて、落ち込みっぱなしになることはなくなりました。
そして、やはり声に出して誰かに自分の気持ちを話すことは大切だと実感しました。以前は定期的に自分の状況や気持ちを誰かに話したりすることがなかったため、これは大きな気付きでした。
忙しくて自分の気持ちを後回しにしてしまう人にこそ、コーチングを勧めたい

コーチングは、今後の仕事やキャリアにどう役立ちそうですか?
三浦さん:
以前は、自分の気持ちを置き去りにして、顧みる時間が取れていませんでした。しかし今回のコーチングを受けて、考えを整理できましたし、自分の思考パターンの癖が見えてきました。そうやって自分を深く理解することで、ウェルビーイングな状態でいられることは、今後のキャリアや人生を支えてくれるはずです。
また、コーチングを受けながら、コーチのスキルを盗み取っています。そして人事グループとして色々な人の相談に乗る際、その技を役立てています。問題がすべて解決できなかったとしても、自分の悩みを誰かに話すだけでもスッキリするものです。だからこそ、コーチのようにしっかりと話を聞くことが大事だと思っています。
安藤さん:
私も三浦さんと同じように、常に自身がどういう状態なのか気を付けて注視するようになりました。この先も良い状態で働いていくには、自分のことを後回しにせず、冷静に自身を分析する時間が必要だと実感したんです。自分が良い状態で余裕があれば、従業員からの相談にも、しっかりと耳を傾けることができます。心に余裕がある状態は、私自身にとっても、周囲の人々にとっても非常にいいことですから、今後もコーチングで得たものを活かしていきたいです。
どのような人に、コーチングをお勧めしたいですか?
三浦さん:
毎日忙しくて、自分のことを振り返る時間がなかなか取れない人にこそ、コーチングをお勧めしたいです。私自身、忙しいことを理由に自分の気持ちに向き合うことを後回しにしてきましたが、コーチからの問いかけで自分をどんどん深掘りしていくことで、ハッとしたり感動したりすることがたくさんありました。ぜひ、時間を作って受けてみてください。新しい自分を発見する良い機会になるはずです。
安藤さん:
仕事に慣れてきたタイミングで、少しモチベーションが停滞している方や、「このままでいいのか」と不安を持っている方に受けていただきたいですね。コーチングの機会があれば、自分が何に悩んでいるのか明確にすることができますし、これから目指す姿も考えることができ、モチベーションアップにもつながると思います。
最後に、今後の目標をお聞かせください。
三浦さん:
人事グループとして、従業員が働きやすい環境を整え、もっと会社を好きになってもらえるようにしていきたいです。そして、私自身もこれからさらに成長していきたいので、不安に思うことはあるけれど、色々なチャレンジをしていきたいですね。
安藤さん:
私も、従業員の様々な悩みを少しでも解消し、良い状態で仕事ができる会社になるよう貢献したいと思っています。そして、リーダーとしても成長したいです。新任リーダーとしてプレッシャーを感じている時、コーチから「みんなに助けてもらいながら一緒に頑張っていくのも、ひとつのリーダー像ですよ」という言葉を掛けてもらえたことが印象に残っています。私も自分に合ったリーダー像を見つけて、周囲の方々と一緒に前進していきたいです。
